現役で合格できる人は10%以下?
久留米大学医学部には、毎年115名ほどの入学者がいますが、そのうち浪人せずに、つまり高校3年生で合格して入学する人がどれくらいいるか御存じですか。
何と、入学者の10%程度しかいません。少ない年だと何と5%!
こうなってしまった原因はどこにあるのでしょうか。
私は以下の2つだと思っています。
- 久留米大学の入試難易度が上がってしまったこと
- 久留米大学一般入試の傾向と対策を学ぶには、浪人生の方が有利であること
難易度は難関大学並み
久留米大学医学部の入試はかなり難しくなってしまいました。
私の友人の医師は「自分たちのころは少し頑張って勉強すれば合格していたけどなあ」と嘆息していました。
そう、今では少し頑張るくらいでは合格できないのです。
入試の難易度を示すのに偏差値が使われるのは御存じでしょう。河合塾が発表する偏差値ランキングで、久留米大学医学部の偏差値は67.5。入試科目が違ったり受験者層が違ったりするので単純な比較は出来ませんが、偏差値が同じ67.5である私立大学名を挙げると、慶應義塾大学経済学部、早稲田大学法学部など、誰もが知っている難関大学が挙げられます。
20〜30年前の久留米大学医学部の偏差値は御存じでしょうか。何と50〜55。10以上も低いのです。
受験生の上位4%に入らなければ合格できない!
偏差値ではピンと来ない人のために、もう少しわかりやすく説明します。
受験生という集団の中で、自分がどのくらいの位置にいるかを示す1つの指標が偏差値です。
平均点に近い人はたくさんいて、ものすごく成績がいい人やものすごく悪い成績の人は少ないだろう、ということは直感的に理解できます。それを数値化して表したものが偏差値だ、ということですね。
計算方法は省きます(正規分布に従うこととします)が、偏差値67.5とは、すべての受験生の中で上位約4%の中に入っていることを示しています。一方、偏差値55とは、上位約30%の中に入っていることを示しています。
いかに入試が難しくなっているか分かるでしょう。
余談ですが、受験生の父親の一部が「オレはこうして勉強して合格できた。(息子に)お前はなぜ出来ないんだ。なんで合格しないんだ」などと責めているのを見ると悲しくなります。
そんな保護者の方には、
「あんたの時代とは違うんだよ!」
とは言わずに
「お子さんは頑張っていますよ。ただ残念ながら難易度が昔よりはるかに上がっているので合格には届きませんでした。それはお子さんのせいではないので責めないで下さい。合格するためにはどうすべきか、次のことを考えてあげましょう」
と一生懸命説明しています(それでも分かってもらえないこともありますが)。
現役生と浪人生の差がつくところは理科と数Ⅲ
高校現役生が一般入試でなかなか合格できないもう1つの理由に、理科と数学の数Ⅲの範囲が上げられます。
大半の高校が、理科についてすべての範囲を終えるのが3年生の夏過ぎまでずれ込んでいます。そのため、理科の演習量が少なくっているのが現状です。さらに、久留米大学医学部の一般入試理科で出題されるところに、教科書の後半部分がそれなりにウェイトを占めているのです。また,数Ⅲについても同じことが言えますが,久留米大学の数Ⅲの出題範囲は狭いので,そこを集中して対策することが重要となります。
ですから,予備校でみっちりと(場合によっては何年も)久留米医学部の対策を受けた浪人生と、一通りの勉強を終えたばかりの高校生では入試問題への対応力で差がついてしまいます。
推薦入試は、高校現役生と1浪生に与えられた最大のチャンスである
こうした状況を考えると、理科が必要なく、数Ⅲも出題されない推薦入試が、高校生にとって如何に重要なチャンスかと言うことが分かってもらえるかと思います。
受験資格があるのであれば、ぜひとも受験して欲しいと思います。
※一般入試について
近年、やや問題のクセをあらため、現役生でも解きやすくしているような傾向が見られます。
これは若い受験生にとって良いお知らせです。
たとえ推薦入試で失敗したとしても、一般入試でがんばりましょう!