平成28年度(2016)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(2/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

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この記事には,久留米大学医学部の過去問の詳しい解説が載っています。過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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平成28年度(2016)久留米大学医学部推薦入試数学[2]

大問2は,数列の漸化式の問題です。完答するためのポイントは

  • 誘導付きの漸化式を適切に変形できるか
  • 誘導がなくても逆数をとるタイプの漸化式が解けるか
  • \(a_{n+1}=pa_n+q~\)型の漸化式が解けるか

の3つです。それぞれのポイントを,解答を引用しながら解説しましょう。

うまく誘導に乗るためのコツ

漸化式の問題で,誘導がついている問題があります。 例えば今回の問題のように,\(~b_n=\)〇〇といった形が与えられているものです。このような問題は,絶対に解かなければなりません。 なぜならば,どんな問題であっても誘導がついていれば,機械的に式を変形することで必ず次のステップに進めるからです。 とはいっても,うまく誘導に乗れない人もいるかもしれませんので,そのコツを教えておきましょう。 そもそも,出題者はなぜそのような誘導を与えてくれたのでしょうか。 それは,\(~b_n=~\)〇〇と置き換えることでうまく解くことが出来るからです。 うまく解くことが出来るというのは,具体的にどういうことでしょうか。 それは,元の\(~a_n~\)の漸化式のままではよくわからないけれど,\(~\)置き換えた\(~b_n~\)の漸化式なら解きやすい形になるということなのです。 ということは,\(~b_n~\)と置き換えることで,\(~\)数列\(~\left\{b_n\right\}~\)の漸化式ができるということです。 その漸化式は,\(~\)きっと\(~b_{n+1}~\)と\(~b_n~\)の関係式になっていることでしょう。ならばコツはたった1つです。 \(~b_{n+1}=~\)からはじめて式を変形し,\(~\)最終的に\(~b_n~\)との関係式を導けば良い ということになります。簡単でしょう? ただし,使う式は3つあります。 問題文にある与えられた\(~\left\{a_n\right\}~\)についての漸化式,\(~\)誘導されている\(~b_n=~\)の式,\(~\)あと一つは? そう,\(~\)誘導の\(~b_n~\)の式の,\(~n~\)を\(~n+1~\)に置き換えた式です。 \(b_{n+1}~\)からスタートするのですから,\(~b_{n+1}~\)がある式を使うのは当然ですよね。 数列で使われる\(~n~\)はすべての自然数を表すのが原則です。ですから,\(~\)与えられた式の\(~n~\)については,自分の都合のいい自然数と置き換えることができるのです。 だから,\(~n+1~\)と置き換えた式をつくればよいのです。 したがってこの問題においては

  • \(~a_{n+1}=-\dfrac{3a_n+12}{2a_n+7}\)
  • \(~b_n=a_n+2\)
  • \(~b_{n+1}=a_{n+1}+2\)

の3つの式を使って式変形を行います。

\(b_n=a_n+2~\)より\(~b_1=a_1+2=-\frac{5}{3}+2=\frac13.~\)また, \begin{align*} b_{n+1}=&a_{n+1}+2 \\ =&-\frac{3a_n+12}{2a_n+7}+2 \\ =&\frac{-(3a_n+12)+2(2a_n+7)}{2a_n+7} \\ =&\frac{a_n+2}{2a_n+7} \\ =&\frac{b_n}{2(b_n-2)+7} \\ =&\frac{b_n}{2b_n+3} \cdots (答) \end{align*}

分数型の漸化式は,\(~\)まず逆数をとることを考えよう

さて,次に問題となるのが,置き換えたこの数列\(~b_n~\)の漸化式を解けるか,という点です。実は漸化式を勉強するにあたって,誘導なしでも解けなければならない重要な漸化式が3タイプあります。それはそれは以下の3つです。

  • \(~a_{n+1}=pa_n+q~\)型
  • \(~a_{n+1}=\frac{ra_n}{pa_n+q}~\)型
  • \(~a_{n+1}=pa_n+q^n~\)型

今回の問題は,このうち2番目の型と同じであることがわかると思います。 このタイプは,逆数を作ることでわかりやすい形になります。 解答を見てみましょう。

帰納的に\(~b_n \neq 0~\)であるから,\(~b_{n+1}=\frac{b_n}{2b_n+3}~\)の逆数をとると \begin{eqnarray*} \frac{1}{b_{n+1}}=&\frac{2b_n+3}{b_n} \\ =&3 \cdot \frac{1}{b_n}+2 \end{eqnarray*}

逆数をとった後、分母の\(~a_n~\)で分子を割り算すれば,よく見る形となります。ただし,初項をきちんと調べておくことを忘れないように。よく間違えるところです。

さらにもう1度変形しなければ・・・

さて,こうして求めた漸化式が,先ほど挙げた3タイプの内の1番目のタイプと同じ形をしていることはわかりますか? そうです。 苦労してここまで変形しましたが,さらにもう一度変形しなければなりません。 基本的には解答のように,右辺にある定数をうまく振り分けることで,等比数列の形を作ります。

この式を変形して \begin{eqnarray*} \frac{1}{b_{n+1}}+1=3 \left(\frac{1}{b_n} +1 \right) \end{eqnarray*} これより数列\(~\left\{ \frac{1}{b_n}+1 \right\}~\)は,\(~\)初項\(~\frac{1}{b_1}+1=3+1=4~\),\(~\)公比\(~3~\)の等比数列である。したがってその一般項は \begin{eqnarray*} \frac{1}{b_{n}}+1=4 \cdot 3^{n-1} \end{eqnarray*} よって \begin{eqnarray*} \frac{1}{b_{n}}=&4 \cdot 3^{n-1} -1 \\ b_n=&\frac{1}{4 \cdot 3^{n-1} -1} \end{eqnarray*} したがって \begin{align*} a_n=&~b_n-2 \\ =&\frac{1}{4 \cdot 3^{n-1} -1}-2 \quad \cdots (答) \end{align*}

いかがでしたか?

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  • 誘導付きの漸化式を適切に変形できる
  • 誘導がなくても逆数をとるタイプの漸化式が解ける
  • \(a_{n+1}=pa_n+q~\)型の漸化式が解ける

一つ一つは基本的事項です。きちんと解いていけば必ず正解にたどり着けるはずです。 答えがでたら念のため,\(~n=1,2~\)あたりを代入して,\(~\)計算ミスしていないかどうかの確認をしましょう。

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