平成30年度(2018)久留米大学医学部一般入試数学の過去問と解答(6/6)

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過去問を利用して、久留米大学医学部一般入試の数学について学びましょう。 平成30年度入試では全部で6問出題されました。 そのうちの6番について、問題と解答を以下にまとめています。 さらに詳しい解説授業は、別の記事にしています。

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平成30年度(2018)一般入試[6]

問題

 3つの状態A,\(~\)B,\(~\)C\(~\)があり,その状態は下記の条件で確率的に変化する。

  • 状態Aにあるとき,翌日には確率\(\frac16\)で状態Bに移り,確率\(\frac56\)で状態Aに留まる。
  • 状態Bにあるとき,翌日には確率\(\frac13\)で状態Aに移り,確率\(\frac13\)で状態Bに留まり,確率\(\frac13\)で状態Cに移る。
  • 状態Cにあるとき,翌日には確率\(\frac16\)で状態Bに移り,確率\(\frac56\)で状態Cに留まる。

第\(n\)日目に状態A,\(~\)B,\(~\)C\(~\)である確率をそれぞれ\(A_n,~B_n,~C_n~\)で表すとする。

  1. 漸化式が\(~a_{n+1}=pa_{n}+qr^n,~a_1=a~\)と定義されているとき,両辺を\(r^{n+1}\)で割ることにより一般項を求めると\(a_n=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)となる。ただし,\(a,~p,~q,~r~\)は実数で\(p \neq r,~q \not=0,~r\neq0\)であり,\(n\)は自然数とする。
  2. \(B_{n+1}\)を\(B_{n+1}=\alpha A_n+\beta B_n +\gamma C_n ~\)と表すと,\( (\alpha,~\beta,~\gamma)=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)である。
  3. はじめ(第1日目)は確率1で状態Aにあるとする。このとき,\(A_n=\boxed{\Large\phantom{ppppp}},~B_n=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)である。また,十分に日数が経過したとき,状態Cである確率は\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)である。

久留米一般(平成30年度入試)

 

解答

  1. \( \quad \)漸化式の両辺を\(r^{n+1}(\ne 0)\)で割ると \begin{align*} \frac{a_{n+1}}{r^{n+1}}=\frac{p}{r}\cdot \frac{a_{n}}{r^{n}}+\frac{q}{r} \end{align*} \( p \ne r \)であることに注意して式を変形すると \begin{align*} \frac{a_{n+1}}{r^{n+1}}-\frac{q}{r-p}=\frac{p}{r}\left( \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p} \right) \end{align*} 数列\( \left\{ \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p} \right\}\)は,初項\( \frac{a_{1}}{r^{1}}-\frac{q}{r-p}=\frac{a}{r}-\frac{q}{r-p} \),公比\( \frac{p}{r} \)の等比数列である。したがって \begin{align*} \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p}=&\left( \frac{a}{r}-\frac{q}{r-p} \right) \left( \frac{p}{r} \right)^{n-1} \\ a_n=&\left( a-\frac{qr}{r-p} \right)p^{n-1}+\frac{qr^n}{r-p} \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}
  2. \(\quad \)第\(n+1 \)日目に状態Bであるとき,第\(n\)日目の状態で分けると以下の3つのパターンがある。
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Aにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Bにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Cにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった

     

    したがって,第\(n+1 \)日目に状態Bである確率\(B_{n+1}\)は,次の漸化式で表される。 \begin{align*} B_{n+1}=\frac16A_{n}+\frac13B_{n}+\frac16C_{n} \end{align*} よって \( \qquad (\alpha,~\beta,~\gamma )=(\frac16,~\frac13,~\frac16) \qquad \cdots \text{(答)} \)
  3. 第\(n\)日目の状態は,状態A,状態B,状態Cのいずれかであるから \(A_n+B_n+C_n=1 \)が成り立つ。したがって(2)の漸化式より \begin{align*} B_{n+1}=&\frac16A_{n}+\frac13B_{n}+\frac16C_{n} \\ =&\frac13B_{n}+\frac16 \left( A_{n}+C_{n} \right) \\ =&\frac13B_{n}+\frac16 \left( 1-B_{n} \right) \\ =&\frac16B_{n}+\frac16 \\ B_{n+1}-\frac15=&\frac16 \left( B_{n}-\frac15 \right) \end{align*} 数列\( \left\{ B_n-\frac15 \right\} \)は,初項\( B_1-\frac15=-\frac15,~\)公比\(\frac16\)の等比数列であるから \begin{align*} B_n-\frac15=&-\frac15 \left( \frac16 \right)^{n-1} \\ B_n=&\frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*} また,第\(n+1 \)日目に状態Aである確率\(A_{n+1}\)は,次の漸化式で表される。 \begin{align*} A_{n+1}=&\frac56A_{n}+\frac13B_{n} \end{align*} \(B_n=\frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \)であることから \begin{align*} A_{n+1}=&\frac56A_{n}+\frac13\cdot \frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \\ =&\frac56A_{n}+\frac{1}{15}- \frac{1}{15}\left( \frac16 \right)^{n-1}\\ A_{n+1}-\frac25=&\frac56 \left( A_n-\frac25 \right) -\frac{1}{15}\left( \frac16 \right)^{n-1} \\ =&\frac56 \left( A_n-\frac25 \right) -\frac25\left( \frac16 \right)^{n} \end{align*} (1)の漸化式と比較して
    \( \qquad a_n=A_n-\frac25,~a=1-\frac25=\frac35,~p=\frac56,~q=-\frac25,~r=\frac16 \)
    と置き換えることにより \begin{align*} A_n-\frac25=&\left( \frac35-\frac{-\frac25 \cdot \frac16}{\frac16-\frac56} \right)\left( \frac56 \right)^{n-1}+\frac{\left( -\frac25 \right)\left( \frac16 \right)^n}{\frac16-\frac56} \\ A_n-\frac25=&\frac12 \left( \frac56 \right)^{n-1} +\frac35 \left( \frac16 \right)^n \\ A_n=&\frac25+ \frac35\left( \frac56 \right)^n+ \frac35\left( \frac16 \right)^n \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*} また,十分に日数が経過したとき状態Cである確率は \begin{align*} \lim_{n \to \infty}C_n=& \lim_{n \to \infty}\left( 1-A_n-B_n \right) \\ =&1-\lim_{n \to \infty}A_n-\lim_{n \to \infty}B_n \\ =&1-\frac25-\frac15 \\ =&\frac25 \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}

 

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