過去問で学ぶ一般入試数学

平成30年度(2018)久留米大学医学部一般入試数学過去問の解説授業(6/6)

この記事には,久留米大学医学部一般入試過去問の詳しい解説が載っています。過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

平成30年度(2018)久留米大学医学部一般入試数学[6]

(1)は唐突に感じるけど,誘導です

これまでの久留米医学部の問題は,誘導がついているイメージはありませんでしたが,この問題の(1)は誘導になってます。

文字が多いこともあって,試験中に「これは何をさせられているんだろうか」と戸惑った人も多かったようです。文字のままで解くだけなので,丁寧に解きましょう。

形がきれいではありませんが,久留米医学部の問題ではよくあることなので,気にしないようにしましょう。

  1. \( \quad \)漸化式の両辺を\(r^{n+1}(\ne 0)\)で割ると \begin{align*} \frac{a_{n+1}}{r^{n+1}}=\frac{p}{r}\cdot \frac{a_{n}}{r^{n}}+\frac{q}{r} \end{align*} \( p \ne r \)であることに注意して式を変形すると \begin{align*} \frac{a_{n+1}}{r^{n+1}}-\frac{q}{r-p}=\frac{p}{r}\left( \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p} \right) \end{align*} 数列\( \left\{ \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p} \right\}\)は,初項\( \frac{a_{1}}{r^{1}}-\frac{q}{r-p}=\frac{a}{r}-\frac{q}{r-p} \),公比\( \frac{p}{r} \)の等比数列である。したがって \begin{align*} \frac{a_{n}}{r^{n}}-\frac{q}{r-p}=&\left( \frac{a}{r}-\frac{q}{r-p} \right) \left( \frac{p}{r} \right)^{n-1} \\ a_n=&\left( a-\frac{qr}{r-p} \right)p^{n-1}+\frac{qr^n}{r-p} \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}

推移図を描けるかどうかがポイント

漸化式を立てるために,推移図を描いてみましょう。例えば次のような図です。

推移図より,状態Bになるためには,状態Aからは確率\( \frac16 \),状態Bからは確率\( \frac13 \),状態Cからは確率\( \frac16 \),であることが分かります。あとはそれを式にするだけです。

  1. \(\quad \)第\(n+1 \)日目に状態Bであるとき,第\(n\)日目の状態で分けると以下の3つのパターンがある。
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Aにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Bにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった
    \(\qquad \)第\(n\)日目に状態Cにあり,第\(n+1\)日目に状態Bになった

     

    したがって,第\(n+1 \)日目に状態Bである確率\(B_{n+1}\)は,次の漸化式で表される。 \begin{align*} B_{n+1}=\frac16A_{n}+\frac13B_{n}+\frac16C_{n} \end{align*} よって \( \qquad (\alpha,~\beta,~\gamma )=(\frac16,~\frac13,~\frac16) \qquad \cdots \text{(答)} \)

忘れるな!\(A_n+B_n+C_n=1\)がポイント

あとは漸化式を解くことになりますが,受験生がよく忘れるのが次の式です。 \begin{align*} A_n+B_n+C_n=1 \end{align*} \(n\)回目の状態は,A,B,Cのいずれかなので,それらの確率をたしあわせると1になります。 言われてみれば当たり前のことですが,以外と忘れがちなので注意しておきましょう。それさえ忘れなければ,(2)で作った漸化式を解くことが出来ます。
  • 第\(n\)日目の状態は,状態A,状態B,状態Cのいずれかであるから \(A_n+B_n+C_n=1 \)が成り立つ。したがって(2)の漸化式より \begin{align*} B_{n+1}=&\frac16A_{n}+\frac13B_{n}+\frac16C_{n} \\ =&\frac13B_{n}+\frac16 \left( A_{n}+C_{n} \right) \\ =&\frac13B_{n}+\frac16 \left( 1-B_{n} \right) \\ =&\frac16B_{n}+\frac16 \\ B_{n+1}-\frac15=&\frac16 \left( B_{n}-\frac15 \right) \end{align*} 数列\( \left\{ B_n-\frac15 \right\} \)は,初項\( B_1-\frac15=-\frac15,~\)公比\(\frac16\)の等比数列であるから \begin{align*} B_n-\frac15=&-\frac15 \left( \frac16 \right)^{n-1} \\ B_n=&\frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}
  • (1)と同じ形であることを見抜けるか?誘導にのるために

    次に\(A_n\)の漸化式を作ります。その漸化式が(1)と同じ形になることに気付くかどうかがポイントです。
    また,第\(n+1 \)日目に状態Aである確率\(A_{n+1}\)は,次の漸化式で表される。 \begin{align*} A_{n+1}=&\frac56A_{n}+\frac13B_{n} \end{align*} \(B_n=\frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \)であることから \begin{align*} A_{n+1}=&\frac56A_{n}+\frac13\cdot \frac15 \left\{ 1- \left( \frac16 \right)^{n-1} \right\} \\ =&\frac56A_{n}+\frac{1}{15}- \frac{1}{15}\left( \frac16 \right)^{n-1}\\ A_{n+1}-\frac25=&\frac56 \left( A_n-\frac25 \right) -\frac{1}{15}\left( \frac16 \right)^{n-1} \\ =&\frac56 \left( A_n-\frac25 \right) -\frac25\left( \frac16 \right)^{n} \end{align*}

    難しいのは,下から3行目の式を見て,「(1)の誘導と同じ式に変形できるはず」と気付くところです。なかなか気付きにくいですよね?

    誘導の式と大きく違うところが,\(\frac{1}{15}\)があるところ。これを,左辺の\(A_{n+1}\)と\(A_n\)に振り分けると,下から2行目の式になります。難しいことをしているようですが,実は漸化式を解くときの基本的な手法(いわゆる特性方程式を使う方法)を使っています。わかるかな?

    それさえ分かれば,あとは下から1行目のように\(\left(\frac16 \right)^{n-1}\)を\(\left(\frac16 \right)^{n}\)にすれば,(1)と同じ形になります。あとは簡単ですね。

    最後の極限は,おまけみたいなものです。

    (1)の漸化式と比較して
    \( \qquad a_n=A_n-\frac25,~a=1-\frac25=\frac35,~p=\frac56,~q=-\frac25,~r=\frac16 \)
    と置き換えることにより \begin{align*} A_n-\frac25=&\left( \frac35-\frac{-\frac25 \cdot \frac16}{\frac16-\frac56} \right)\left( \frac56 \right)^{n-1}+\frac{\left( -\frac25 \right)\left( \frac16 \right)^n}{\frac16-\frac56} \\ A_n-\frac25=&\frac12 \left( \frac56 \right)^{n-1} +\frac35 \left( \frac16 \right)^n \\ A_n=&\frac25+ \frac35\left( \frac56 \right)^n+ \frac35\left( \frac16 \right)^n \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*} また,十分に日数が経過したとき状態Cである確率は \begin{align*} \lim_{n \to \infty}C_n=& \lim_{n \to \infty}\left( 1-A_n-B_n \right) \\ =&1-\lim_{n \to \infty}A_n-\lim_{n \to \infty}B_n \\ =&1-\frac25-\frac15 \\ =&\frac25 \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}

    この問題のポイント

    振り返ってみましょう。

    この問題が解けるかどうかのポイントは、

    1. 確率漸化式の問題に慣れているか
    2. \(A_n+B_n+C_n=1\)を忘れていないか
    3. 誘導の式と同じ形に変形できるか
    といったところです。苦手な人は類題を解いておきましょう。

     

    ※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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