平成31年度(2019)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(2/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

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この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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平成31年度(2019)久留米大学医学部推薦入試数学[2]

解法の選択と特殊解の見つけ方がポイント!不定方程式についてまとめておこう

  1. \( 2019=3\times 673~\)より,\(2019\)の正の約数は \begin{align*} 1,~3,~673,~2019~ \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}
  2. \(2019x+31y=1~\cdots [1]\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)がある。よって \begin{align*} 2019 \cdot 8 + 31 \cdot (-521)=1 \quad \cdots [2] \end{align*}

(1)については簡単なので問題ないでしょう。

さてあなたは(2)の不定方程式\(2019x+31y=1\)を見て,まず何を考えてましたか。

いきなり「特殊解を見つけよう」と考えたでしょうか。だとしたら,まだ不定方程式について,うまく整理されていないのかもしれません。

というのも,不定方程式の解法には「特殊解を見つけてから一般解を見つける」という解法だけでなく,「係数をくくってから一般解を見つける」という解法もあり,こちらの方が簡単に解ける問題もあるからです。

残念ながら今回の問題には使えず,結局「特殊解を見つけてから一般解を見つける」という解法を使うのですが,まず「係数をくくってから一般解を見つける」解法を使えないかどうかを確認する人としない人では,実戦力に大きな差があると言っていいでしょう。

「特殊解を見つけてから一般解を見つける」解法は,すべての不定方程式で使えるというメリットがありますが,その反面,特殊解を見つける過程に時間がかかることがある,というデメリットがあるのです。

久留米大学医学部の試験は,推薦試験も一般試験も時間との闘いです。素早く解ける解法があるのであれば,そちらを選べる力が必要です。まずは「係数をくくってから一般解を見つける」解法を検討するよう心がけましょう。

検討する,とは,各項の係数に共通因数がないかどうかを確認する,ということです。つまり,不定方程式\(ax+by=c\)の\(a,~b,~c\)のいずれかに共通因数があれば,それをくくることで解くことができます。(今回の問題は残念ながら共通因数が見つからず,「特殊解を見つけてから一般解を見つける」解法を選ぶことになります。)

特殊解を見つける過程は記述する必要はない

さてもう一度解答を再掲してみましょう。
  1. \(2019x+31y=1~\cdots [1]\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)がある。よって \begin{align*} 2019 \cdot 8 + 31 \cdot (-521)=1 \quad \cdots [2] \end{align*}

不定方程式\(2019x+31y=1~\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)すなわち特殊解を見つけていますが,これはどうやって見つけたのでしょうか。

もちろん,ユークリッドの互除法を使ったのでしょう。教科書にも載っている,ごく普通の解法です。

では,それを記述しなくていいのでしょうか。

結論から言うと,私は記述する必要はないと思っています。理由は「久留米大学の解答用紙のスペースが狭いこと」「特殊解は,代入して求められることもあること」の2つです。

「久留米大学の解答用紙のスペースが狭いこと」については,問題集やweb上でも公開していますのでご確認ください。

模擬試験や国立大学の2次試験に比べれば,かなり解答欄が狭くなっています。ですから,コンパクトに記述する訓練をしておかなければなりません。

特殊解を求める過程は,解答の中で優先順位が低いところなので,省略しても良いところだと思います。なぜなら「特殊解は,代入して求められることもある」からです。

例えば\(7x+6y=1\)の特殊解は何でしょうか。もちろん\(x=1,~y=-1\)です。こんな問題にユークリッドの互除法を持ち出す人はいませんね。

だとしたら\(2019x+31y=1~\)についても,「\(x=8\)を代入したら,たまたまうまくいきました」という受験生がいたとしても何ら問題はないはずです。

ということで,特殊解を見つける過程は省くことをお勧めします。

一応,以下に特殊解を見つける過程を記しておきます。

ユークリッドの互除法を用いて \begin{align*} 2019=&31 \times 65+ 4 \\ 31=&4 \times 7+ 3 \\ 4=&3 \times 1+ 1 \end{align*} それぞれを「(余り)=」にすると \begin{align*} 4=&2019- 31 \times 65 \\ 3=&31-4 \times 7 \\ 1=&4-3 \end{align*} 式を下から順に使って \begin{align*} 1=&4-3 \\ =&4-(31-4 \times 7) \\ =&4\times 8- 31 \\ =&(2019- 31 \times 65)\times 8-31 \\ =&2019\times 8 +31\times (-521) \end{align*} したがって,特殊解の一つは\(x=8,~y=-521\)である。

一般解は機械的に求められる

特殊解が見つかれば,あとは互いに素であることを用いて一般解を求める,という機械的な手順だけです。がんばって完答しましょう。

\([1]-[2]\)より \begin{align*} 2019(x-8)+31(y+521)&=0 \\ 31(y+521)&=2019(8-x) \end{align*} \(2019\)と\(31\)は互いに素であるから,\(x,~y\)がともに整数のとき,\(8-x\)は\(31\)の倍数であり,\(y+521\)は\(2019\)の倍数である。したがって整数\(k\)を用いて \begin{align*} 8-x=31k,~y+521=2019k \\ \therefore \quad x=8-31k,~y=-521+2019k \end{align*} \(x\)が自然数のとき,\(x\geqq 1\)であるから \begin{align*} 8-31k \geqq 1 \\ k \leqq \frac{7}{31} \end{align*} したがって,\(x\)の値が最小となるのは\(k=0\)のときであり,このとき \begin{align*} x=8,~y=-521 \qquad \text{(答)} \end{align*}

この問題のポイント

振り返ってみましょう。この問題のポイントは、

  1. 不定方程式の解法を,適切に選べるか
  2. 特殊解を見つけることができるか
  3. 特殊解から一般解を導くことができるか

といったところです。どれも大切なので,ミスなくできるよう訓練しておきましょう。

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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