[mathjax]
この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。
過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!
解答はすでにこちらの記事で示しております。
令和02年度(2020)久留米大学医学部推薦入試数学[2]
座標を求めるのに,必ずしも連立方程式を解く必要はない
- \(x^2+y^2-8x-10y+36=0\)より\( (x-4)^2+(y-5)^2=5.\)
よって円\(C\)の中心の座標は\( (4,~5),~\)半径は\( \sqrt5 \)である。
- 直線\(l\)が円\(C\)に接するための条件は,円\(C\)の中心\((4,~5)\)と直線\(l\)との距離が\(C\)の半径\(\sqrt5\)に一致するときである。よって
\begin{align*}
\dfrac{|2\cdot4-5+k|}{\sqrt{2^2+(-1)^2}}&=\sqrt5 \\
|k+3|&=5 \\
k&=2,-8
\end{align*}
\(k>0\)より\(k=2. \quad \quad \cdots \text{(答)} \)
また,接点の座標は下図より\((2,~6). \quad \quad \cdots \text{(答)}\)
(1)については問題ないでしょう。式を変形して中心の座標と半径を求めるだけです。
(2)について,前半は直線と円が接する条件を求めています。これは,上記のように「①点と直線の距離公式を使う方法」と,「②直線の式と円の式を連立した方程式の判別式を使う方法」があります。
どちらも大事な手法なので,どちらでも解けなければなりません。
問題はそのあとの座標を求めるところです。
①を用いた人が,接点の座標を求めるために,あらためて直線の式と円の式を連立して方程式を作るのは,解法としてどうでしょうか。
そうするのだったら,初めから②の解法で解いた方が無駄が無くていい,とは思いませんか?
②の解法であれば,2次方程式から重解を求めることができます。そこには無駄な手順はありません。
しかし①の解法で接するときの\(k\)の値を求め,そのあと②の解法と同じように連立して2次方程式を作るのは,無駄な手順だと思います。
そこで連立はせず,接点の座標は直角三角形を用いて求めましょう。
上記の図に少し解説を加えましょう。
接線\(l\)の傾きは\(2\)なので,接点と円の中心を結んだ直線の傾き,つまり直角三角形の斜辺の傾きは\(-\dfrac12\)となります。これは,上図の直角三角形の辺の比が \begin{align*} \text{(底辺):(高さ):(斜辺)}=2:1:\sqrt5 \end{align*} であることを示しています。
斜辺の長さは円の半径\(\sqrt5\)と一致するので,底辺の長さは\(2,~\)高さは\(1\)とわかります。あとはそれを用いて座標を求めれば良いのです。
この手法は,様々な場面で利用することができるので,マスターすればかなり解答時間を短くすることができます。ぜひマスターしましょう。
この問題のポイント
振り返ってみましょう。
この問題が解けるかどうかのポイントは、
- 円と直線が接する条件を,点と直線の距離公式を用いて求めることができるか
- 円と直線が接する条件を,連立した2次方程式を用いて求めることができるか
- 接点の座標を,直角三角形を用いて求めることができるか
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