令和3年度(2021)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(2/5)

推薦入試

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

令和3年度(2021)久留米大学医学部推薦入試数学[2]

確率の最大値問題,まずは大まかな流れを確認しておこう

この問題は,袋から球を繰り返し取り出し,確率が最大となるのは白球が何個のときかを調べる問題です。

よくある問題ではありますが,前半は取り出した球を元に戻す場合,後半は取り出した球を元に戻さない場合,と二つの問題を並べてあるところが特徴です。

片方しかできないようじゃダメだよ,という出題者からのメッセージでしょう。

まずは確率を計算します。そのあと,\(k\)回の確率と\(k+1\)回の確率,つまり隣同士を比較します。その式を利用し,確率が最大となる\(k\)の値を求める,という流れになります。

どの問題でもほぼ同じですので,しっかりマスターしておきましょう。

取り出した球を元に戻す場合

1回の試行で白球を取り出す確率は\(\frac35,~\)赤球を取り出す確率は\(\frac25\)であるから

\begin{align*} p_k=& _{20}\textrm{C}_{k}\left(\frac35 \right)^k \left(\frac25\right)^{20-k} \\ =&\frac{20!}{k!(20-k)!}\cdot \frac{3^k \cdot 2^{20-k}}{5^{20}} \end{align*} したがって \begin{align*} \frac{p_{k+1}}{p_k}=&\frac{20!}{(k+1)!(19-k)!}\cdot \frac{3^{k+1} \cdot 2^{19-k}}{5^{20}} \cdot \frac{k!(20-k)!}{20!}\cdot \frac{5^{20}}{3^k \cdot 2^{20-k}} \\ =&\frac{3(20-k)}{2(k+1)}\\ =&\frac{-3k+60}{2k+2} \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}

前半は,取り出した球を元に戻す場合です。同じ試行を繰り返すので,反復試行の確率ですね。

注意するのは,\( _{20}\textrm{C}_{k}~\)をかけ忘れないこと。

「白玉が\(~k~\)回出る」事象のパターン数は,順序を考えると\( _{20}\textrm{C}_{k}~\)通りあります。

この組合せは,階乗の記号を用いて\( _{20}\textrm{C}_{k}=\frac{20!}{k!(20-k)!}\)と表せます。意外に苦手としている人も多いのですが,教科書に載っている基本事項ですので覚えておきましょう。

そのあとは,\(p_k~\)と\(~p_{k+1}~\)を比較するため,\(\frac{p_{k+1}}{p_k}~\)を計算しておきます。約分できるところを間違えなければ,計算は簡単なので正解にたどり着けるでしょう。

ただし,問題文の注意書きを読み落とさないように。

「分母と分子が降べきの順に展開された1項の分数式で表せ。」とありますので,分母と分子ともに,括弧を展開した形にしなければなりません。

ここで点数を落とすのは悔しいですよね。答えが出ても,その答えを解答欄に入れて間違いが無いかどうか調べましょう。

こんなところを不注意で点数を落としてしまうようでは,医者としての適性がない,というメッセージかもしれませんね。

隣同士の確率を比較するため,不等式をつくる

ここで,\( \frac{p_{k+1}}{p_k} > 1 \)として \begin{align*} \frac{-3k+60}{2k+2} > & 1 \\ -3k+60 > & 2k+2 \\ k < & \frac{58}{5}=11+\frac35 \end{align*} したがって,\(0 \leqq k \leqq 11\)のとき \begin{align*} \frac{p_{k+1}}{p_k} > 1 \quad \Leftrightarrow \quad p_k < p_{k+1} \\ \therefore p_0 < p_1 < p_2 < \cdots < p_{11} < p_{12} \end{align*} \(12 \leqq k \leqq 19\)のとき \begin{align*} \frac{p_{k+1}}{p_k} < 1 \quad \Leftrightarrow \quad p_k > p_{k+1} \\ \therefore p_{12} > p_{13} > p_{14} > \cdots > p_{19} > p_{20} \end{align*} よって,\(p_0 < p_1 < \cdots < p_{11} < p_{12} > p_{13} > \cdots > p_{20}~\)となるので,\(p_k~\)が最大となる\(~k~\)の値は\(~k=12 \quad \cdots \textrm{(答)} \)である。

求めた\(~\frac{p_{k+1}}{p_k}~\)を\(~1~\)より大きいとした不等式\(~\frac{p_{k+1}}{p_k}>1~\)を使って,\(p_k~\)と\(~p_{k+1}~\)を比較します。

「1より大きい」としたところは,「1より小さい」とした不等式でも構いません。

\(\frac{p_{k+1}}{p_k} > 1 ~\)を満たす\(~k~\)の値は,\(p_k < p_{k+1}~ \)を満たす,というところが大事なところです。隣同士を比較していますね。

あとは,\(0 \leqq k \leqq 11~\)のときと\(~12 \leqq k \leqq 19~\)のときを丁寧に考えれば,答えが出ます。

取り出した球を元に戻さない場合

取り出した球は元に戻さないので,50個の中から20個を選ぶと考える。すべての事象は\( _{50}\textrm{C}_{20}~\)通りであり,そのうち白球が\(~k~\)個取り出される組合せは\(_{30}\textrm{C}_{k} \cdot _{20}\textrm{C}_{20-k}~\)通りあるから, \begin{align*} q_k=& \frac{_{30}\textrm{C}_{k} \cdot _{20}\textrm{C}_{20-k}}{_{50}\textrm{C}_{20}} \\ =& \frac{30!}{k!(30-k)!} \cdot \frac{20!}{(20-k)!k!} \cdot \frac{20!30!}{50!} \\ =& \frac{(30!)^2(20!)^2}{(k!)^2(30-k)!(20-k)!50!} \end{align*} よって \begin{align*} \frac{q_{k+1}}{q_k}=& \frac{(30!)^2(20!)^2}{{(k+1)!}^2(29-k)!(19-k)!50!} \cdot \frac{(k!)^2(30-k)!(20-k)!50!}{(30!)^2(20!)^2} \\ =& \frac{(30-k)(20-k)}{(k+1)^2} \\ =& \frac{k^2-50k+600}{k^2+2k+1} \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}

全事象をどのように数えるか確認しよう

確率を計算するときの間違いの一つに,分母の事象と分子の事象が一致していないことがあります。

例えば,分母は順序まで考えて「並べて」いるのに,分子は順序を考えていなくて「選んで」いる,などのミスです。

分母は同様に確からしい全事象の数となりますが,分子はその全事象の中から対象となる事象の数となります。注意しましょう。

後半の問題では,取り出した球を戻さずに20個取り出します。これを「30個のうち20個を並べる」と考えると,全事象は\(~_{30}\textrm{P}_{20}~\)通りとなります。こう考えた場合は,並び順も考慮しているのですから,分子もまた,並び順を考慮して数えなければなりません。

しかし,順序を考慮せず,全事象を「30個のうち20個を取り出す」と考えても解くことができます。この場合は全事象は\(~_{30}\textrm{C}_{20}~\)通りとなり,分子も並び順を考慮せず,組合せで数えることになります。

どちらで考えても解くことはできますが,分母と分子は同じように考えて解きましょう。

模範解答は,順序を考慮しない組合せで解いています。

この後は,前半の問題と同じです。

ここで,\(\frac{q_{k+1}}{q_k}>1\)として \begin{align*} \frac{k^2-50k+600}{k^2+2k+1} >& 1 \\ k^2-50k+600 >& k^2+2k+1 \\ k <& \frac{599}{52}=11+\frac{27}{52} \end{align*} したがって,\(0 \leqq k \leqq 11\)のとき \begin{align*} \frac{q_{k+1}}{q_k} > 1 \Leftrightarrow q_k < q_{k+1} \\ \therefore q_0 < q_1 < q_2 < \cdots < q_{11} < q_{12} \end{align*} \(12 \leqq k \leqq 19\)のとき \begin{align*} \frac{q_{k+1}}{q_k} < 1 \Leftrightarrow q_k > q_{k+1} \\ \therefore q_{12} > q_{13} > q_{14} > \cdots > q_{19} > q_{20} \end{align*} よって,\(q_0 < q_1 < \cdots < q_{11} < q_{12} > q_{13} > \cdots > q_{20}\)となるので,\(q_k~\)が最大となる\(~k~\)の値は\(~k=12 \quad \cdots \textrm{(答)}\)である。

確率の最大値を求める問題は,今回のように\(~\frac{p_{k+1}}{p_k} > 1~\)を使っても解けますが,\(p_{k+1}-p_k > 0~\)を使っても解くことができます。どちらにしても,隣同士を比較する不等式を使うところがポイントです。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 球を元に戻す場合と戻さない場合に注意する
  2. 分母と分子の数え方を一致させることができる
  3. 隣同士の確率を比較する不等式をつくることができる

といったところです。定番の手法ですから,完答できるように復習しておきましょう。

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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