令和05度(2023)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(4/4)

過去問で学ぶ推薦入試数学


[mathjax]

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和05年度(2023)久留米大学医学部推薦入試数学[4]

[4]実は数IIの範囲です!微分の定義

キーワードから,条件(ii)は恒等式だとわかる

会話文がヒントになっているので,そのヒントを元に考えていきましょう。

条件(ii)にキーワード「すべての実数\(p,~q~\)において\(\cdots\)」があるので,この式は恒等式だとわかります。

他のキーワードとしては,「任意の実数\(m\)について\(\cdots\)」「どのような\(k\)についても\(\cdots\)」などがあります。これらを見つけたら,恒等式だと気付きましょう。

恒等式だとしたら,どんな値を代入しても成り立ちますので,ここでは\(x=p=0\)を代入します。

\(f(0)\)を求めたいからです。


(1) 条件\(\textrm{(ii)} \)の式について,\(x=p=0 \)を代入して
\begin{align*}
f(0)=f(0)+f(0)-1 \\
\therefore f(0)=1 
\end{align*}

覚えているか?微分の定義を使おう

次は微分係数の定義を使います。
2点\(\left( 0,~f(0) \right) \)と\(\left( 0+h,~f(0+h) \right) \)を結んだ直線の傾きと考えればわかると思います。見てみましょう。

また,\(f(h)=f(0+h),~1=f(0)~\)であるから,微分係数の定義より
\begin{align*}
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(h)-1}{h}= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h} \\
= & f'(0) \\
= & 0 
\end{align*}

このあとは導関数の定義を使いますが,本質的には何も変わりません。
文字をうまく変更するだけで,解くことは可能でしょう。


導関数の定義は
\[
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}=f'(x) 
\]
条件\( (ii) \)の式の\(p~\)を\(h~(h \not = 0)\)に置き換えることで
\begin{align*}
f'(x)= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} \\
= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{ \left\{f(x)+f(h)+2xh-1 \right\}-f(x)}{h} \\
= & \displaystyle\lim_{h \to 0} \left\{ \frac{ f(h)-1}{h}+2x \right\} \\
= & f'(0) +2x \\
= & 2x 
\end{align*}

\(f'(x)=2x\)より,\(f(x)=x^2+C~\)(\(C\)は積分定数).
\(f(0)=1~\)なので\(C=1.\quad \therefore f(x)=x^2+1 \)

少し複雑な形だけれど,やはり微分の定義を利用しよう

(4),(5)の式は,そのままでは微分の定義が使えなさそうに見えます。しかし,少し変形をすることで,微分の定義を使える形になります。

ポイントは,やはり2点間の傾きを使うので,分子を差の形にすることです。

(4)
\begin{align*}
\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h}= & \frac{f(1+(-3h))-f(1)-f(1+2h)+f(1)}{h} \\
= & \frac{f(1+(-3h)-f(1)}{h}-\frac{f(1+2h)-f(1)}{h} \\
= & \frac{f(1+(-3h)-f(1)}{-3h} \cdot (-3)-\frac{f(1+2h)+f(1)}{2h} \cdot 2
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h}
= & -3f'(1)-2f'(1) \\
= & -5f'(1) 
\end{align*}

(5)
\begin{align*}
\frac{4f(x)-x^2f(2)}{x-2}= & \frac{4(f(x)-f(2))-(x^2-4)f(2)}{x-2} \\
= & 4 \cdot \frac{f(x)-f(2)}{x-2}-(x+2)f(2)
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
\displaystyle\lim_{x \to 2}\frac{4f(x)-x^2f(2)}{x-2}= & 4f'(2)-4f(2) \\
= & 4 \cdot 12-4\cdot 8 \\
= & 16 
\end{align*}

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. キーワードから恒等式だと判断できるか
  2. 微分の定義を覚えているか
  3. 2点間の傾きの形に,式を変形できるか

といったところです。

微分の定義は,数\( \rm{III} \)の範囲だと勘違いしている人も多いのですが,実は数\(\rm{II}\)の教科書にも載っています。

受験生の盲点になっているところなので,苦手な人はこの機会に復習しておきましょう。

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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