令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(2/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学[2]

小さい頃に遊んでいる人が有利?ゲームと確率

確率の問題でまず大切なことは,設定を読み取ることです。どんな状況でどのような試行を行うのか,を理解しなければ計算できるはずがありません。

今回の問題はあるルールに従ってコマを進めるゲームを行います。サイコロを振って出た目の数だけマス目を進み,ちょうどゴールに着いたら終了です。ちょうどではなく,大きすぎた場合はその超えた分だけマス目を戻り,次回はまたサイコロを振ってゴールに向かいます。

まあわかってみれば何てことはない,双六ですね。小さい頃に遊んだことがない人はいないだろうと思います。

確率の問題では,このようなゲームを扱う問題が多いので,小さい頃に遊んでいた経験が多い人ほど有利かも?(笑)

場合分けを丁寧にしよう。文字や記号を使うと書きやすい

まずは(1)の解答を見てみましょう。

  1. \(k\)回目のサイコロの目を\(a_k\)とする。
    サイコロを2回振ったときのすべての目の出方は\(6^2\)通りであり,そのうち2回目の試行で終わるのは
    \[ (a_1,~a_2)=(4,~6),~(5,~5),~(6,~4) \] の3通りである。よって,2回目の試行で終わる確率は \[ \frac{3}{6^2}=\frac{1}{12} \cdots \textrm{(答)} \]


2回目の試行で終わるときは,コマが戻ることを考える必要はありません。ただ2回のサイコロの目の合計が10になるときを調べればOKです。

なお,今後の記述をしやすくするために,「\(k\)回目のサイコロの目を\(a_k\)とする」としています。

場合の数や確率は,答えを求めることはできても,どのように考えたのかを記述するのが面倒な場合があります。

記述式の試験を受ける場合には,このようにうまく文字や記号を使うことで,記述をシンプルにすることができます。覚えておきましょう。

まあ,久留米大学は穴埋め式なので,関係ないですけどね(笑)。

次は(2)の解答です。ゴールから戻ることもあるので場合分けしなければなりません。

  1. サイコロを3回振ったときのすべての目の出方は \(6^3\) 通りであり,そのうち3回目の試行で終わるのは,次の2パターンがある。
    1. \(a_1 + a_2 + a_3 = 10\) のとき
      和が10となるサイコロの目の組み合わせは次のとおりです \[ \{1,~3,~6\},~\{1,~4,~5\},~\{2,~2,~6\},~\{2,~3,~5\},~\{2,~4,~4\},~\{3,~3,~4\} \] 目の出る順序を考慮して計算すると \[ 3! + 3! + 3 + 3! + 3 + 3 = 27 \text{(通り)} \]
    2. \(a_1 + a_2 > 10\) のとき
      \((a_1,~a_2,~a_3)\) は次のとおりです \[ (5,~6,~1),~(6,~5,~1),~(6,~6,~2) \] の3通り。

    よって (i) と (ii) より,3回目の試行で終わる確率は \[ \frac{27+3}{6^3} = \frac{5}{36} \quad \textrm{(答)} \]

3回目で施行が終わるケースは,ゴールから戻ることがない場合と戻ることがある場合があります。

それをここでは「\(a_1+a_2+a_3=10\)のとき」と「\(a_1+a_2 >10\)」のとき,で場合分けしました。

「\(a_1+a_2+a_3=10\)のとき」は,まず合計が10になる数字の組み合わせを調べています。そのあと,その数字の組み合わせならどの順序で出てもいいのですから,順序を考えて計算しています。

例えば,\{1,~3,~6\}の組み合わせなら異なる3つの数の順序を考えて\(3!\)通り,\{2,~2,~6\}の組み合わせなら同じものを含む順列なので\(\frac{3!}{2!}=3\)通り,としています。

この,順序を考えることを忘れる人がいますので,注意しましょう。

 

条件付き確率は「条件」で割る

  1. (2)より,3回目の試行で終わったときに,後戻りをしていない条件付き確率は \[ \frac{27}{27+3}=\frac{9}{10} \cdots \textrm{(答)} \]

公式を確認しておきましょう。

事象\(A\)が起きたという条件のもとで事象\(B\)が起こる確率\(P_A(B)\)は
\[
P_A(B)=\frac{P(A \cap B)}{P(A)} \left( = \frac{n(A \cap B)}{n(A)}\right)
\]
です。

記号で見ると拒否反応がある人もいるでしょうが,次のようなイメージ図があればどうでしょうか。

通常の「事象\(B\)が起こる確率(図1)」ならば,全事象\(U\)の中で事象\(B\)はどのくらいか,を考えることになります。

これが「事象\(A\)が起きたという条件のもとで事象\(B\)が起こる確率(図2)」だと,全事象\(U\)ではなく,事象\(A\)の中で事象\(B\)がどのくらいか,を考えることになります。

だから分母に事象\(A\)の確率がくるのです。分子は\(B\)なのですが,事象\(A\)の中で考えるのですから,\(A\)の中の\(B\),つまり事象\(A \cap B\)となります。

公式がなかなか頭に入ってこなかった人は,上記のようなイメージをもつことで記憶できるでしょう。

問題の設定を正確に読み取り,必要ならば場合分けしよう

(4)では,双六でよくある「スタートに戻る」が加わります。5のマスに止まったらスタートに戻る,というルールが加わるのです。

ちょっと難しいなあ・・・と感じる人もいると思いますが,よく考えると実は大したことありません。

というのも,3回で終了する(ゴールする)確率を求めるので,スタートに戻るとしたら1回目のみということがわかるからです。

解答を見てみましょう。

  1. 2回目に \(\boxed{5}\) のマスに止まると,3回目で試行が終わることはない。したがって,3回目の試行で終わるのは,次の3パターンがある。
    1. \(a_1 \ne 5\) かつ \(a_1 + a_2 \ne 5\) かつ \(a_1 + a_2 + a_3 = 10\) のとき
      和が10となるサイコロの目の組み合わせは以下のとおりです \[ \{1,~3,~6\},~\{1,~4,~5\},~\{2,~2,~6\},~\{2,~3,~5\},~\{2,~4,~4\},~\{3,~3,~4\} \] このうち、目の出る順序を考慮して条件を満たすものは \[ 3! + 2 + 3 + 2 + 3 + 3 = 19 \text{(通り)} \]
    2. > \(a_1 \ne 5\) かつ \(a_1 + a_2 > 10\) のとき
      次の2通りです  \[ (a_1,~a_2,~a_3) = (6,~5,~1),~(6,~6,~2) \]
    3. \(a_1 = 5\) かつ \(a_2 \ne 5\) かつ \(a_2 + a_3 = 10\) のとき
      次の2通りです \[ (a_1,~a_2,~a_3) = (5,~4,~6),~(5,~6,~4) \]
    したがって (i)〜(iii) より,求める確率は \[ \frac{19 + 2 + 2}{6^3} = \frac{23}{216} \quad \textrm{(答)} \]

まず,1回目のサイコロで5の目が出る場合と出ない場合に分けられます。

そのあと,5の目がでる場合については残り2回でゴールするので戻ることは考える必要がありません。2回目のサイコロで5の目が出てしまうといけないので,そこだけ注意すれば(2)が使えます。

1回目のサイコロで5の目が出ない場合については,これをさらに「2回目にゴールを超えて戻ってしまう場合」と「戻らない場合」に分ける必要があります。

ですから,合わせて3つの場合に分けて考えることになります。

上記の解答の場合分けをしっかり理解しましょう。

あとは順序を忘れずに計算すれば大丈夫だと思います。最後までしっかり答えを出しましょう。

最後の(5)は,4回の試行で2回戻ったあと終了するケースがどういう場合かを考えます。戻るのが,2回目と3回目であることに気づけば,あとは計算するだけです。

  1. 4回の試行で途中2回後戻りして試行が終わるとき,2回目と3回目で後戻りすることになる。それは次の2パターンである。
    1. \((a_1,~a_2)=(5,~6),~(6,~5)\)のとき \[ (a_3,~a_4)=(2,~1),~(3,~2),~(4,~3),~(5,~4),~(6,~5) \] であるから,\(5 \times 2 =10\)通り。
    2. \((a_1,~a_2)=(6,~6)\)のとき \[ (a_3,~a_4)=(3,~1),~(4,~2),~(5,~3),~(6,~4) \] の\(4\)通り。
    したがって(i)(ii)より,求める確率は \[ \frac{10+4}{6^4}=\frac{7}{648} \cdots \textrm{(答)} \]

いかがでしたか?

双六という身近なゲームにおける確率なので,易しい問題のような気もしますが,設定が変わるところもあって,受験生は意外に手こずるような気もします。

どんな問題であっても,しっかりと設定を理解し,きちんと場合分けして解きましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1.  問題文から正確に設定を読み取ることができるか
  2. 設定に応じて場合分けすることできるか 
  3. 条件付き確率を理解しているか 

確率が苦手な人はしっかり復習しましょう。

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

 

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