令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(3/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学[3]

中心間の距離がポイント!2円の位置関係

大問3は,円に関する問題です。小問が5つあり,いずれも有名な問題です。しっかり得点しましょう。

直角を探し,点と直線の距離公式を利用する

まず(1)は,円と直線が2点A,Bで交わっているときの線分ABの長さについて問題です。解答を見てみましょう。
 
  1. \(C_1\)と\(C_2\)の2交点A,~Bを通る直線は \[ (x^2+y^2-6x-8y-a)-(x^2+y^2-8)=0 \] すなわち \[ 6x+8y-8+a=0 \cdots [1] \] とおける。\(C_1\)の半径は\(2\sqrt2\)なので,線分ABの長さが4となるのは,原点O(0,~0)と直線ABの距離が2となるときである。したがって \begin{align*} \frac{|-8+a|}{\sqrt{6^2+8^2}}=& 2 \\ |a-8|=& 20 \\   a=& -12,~28 \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}
      
 
円を扱う問題で,中心を使わないことはまずありません。そして,線分ABの長さが4ということなので,円の中心と2点A, Bの関係を見ます。
 
すると,三角形OABは二等辺三角形となりますので,線分ABの中点をMとすると∠OMA=90°となり三角形OAMが直角三角形であることがわかります。そして~OA=\(2\sqrt{2},~\)AM=\(2~\)より,OM=\(2~\)であることがわかります。
 
あとは点と直線の距離公式を使って\(a\)の条件を求めればOK。
 
もしかしたら,直線ABの方程式をもとめるところで躓いた人もいるかもしれません。2円の交点を通る直線の求め方はマスターしておきましょう。

三角形の面積が最大となるところがわかれば簡単

三角形OABの面積の最大値を求める問題です。
まずは解答を見てみましょう。
  1. 三角形OABについて,OA,~OBの長さは\(C_1\)の半径\(2\sqrt2\)で変わらないので,三角形OABの面積が最大となるのは,角AOBが直角のときである。よって三角形OABの面積の最大値は \begin{align*} \frac12\left( 2\sqrt2\right)^2=4 \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}  

ポイントは,三角形OABの面積が最大となるのは角AOBが直角のときであることを見抜くことです。

実際の試験会場で解くときには,上記のように丁寧に書かなくても,「角AOBが直角のとき」とわかれば,三角形OABの面積はOAを底辺,OBを高さと考えて簡単に計算できます。

穴埋めの試験なので,時間は効率的に使いましょう。

式の立て方に注意!2円の交点を通る円の方程式

(3)(4)はまとめていきましょう。
  1. \(a=28\)なので,\([1]\)より2点A,~Bを通る直線の方程式は   \begin{align*}   6x+8y+20=0 \\   ∴ y=-\frac{3}{4} x-\frac52 \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}
  2. \(a=28\)なので,2点A,~Bを通る円は,\(C_1\)と直線\(3x+4y+10=0\)の交点A,~Bを通る円なので,その方程式は実数\(k\)を用いて \[ (x^2+y^2-8)+k(3x+4y+10)=0 \] と表せる。これを変形して \[   \left( x+\frac{3k}{2}\right)^2 +\left( y+2k \right)^2= \frac{25}{4}k^2 -10k +8 \cdots [2] \] 中心の\(x\)座標が\(-6\)なので,   \begin{align*} -\frac{3k}{2}=-6 \\ k=4     \end{align*} よって求める円の方程式は\([2]\)より \[ (x+6)^2+(y+8)^2=68 \quad \cdots \textrm{(答)} \]

上記の解答では,2点A,Bを通る円の方程式を

\[  (x^2+y^2-8)+k(3x+4y+10)=0 \cdots [1] \] と置いています。ここがポイントです。 この式が表す図形は,\(k\)の値に関わらず円となります(展開してみるとわかります)。 また,Aの座標をA\((X,~Y)\)として代入すると成り立つので,点Aを通る円であることもわかります。同様にして点Bも通ることがわかります。

あとは,「中心の座標が\(-6\)である」ことから\(k\)の値が求められます。
ですから,\([1]\)の式さえ立てることができれば,スムーズに解答できるでしょう。
ただし,注意点があります。
2点A,Bを通る円の方程式を,次のようにおいた人はいませんか?

\[  (x^2+y^2-8)+k(x^2+y^2-6x-8y-28)=0 \cdots [2] \]

これは,直線を使わずに,\(C_1\)と\(C_2\)の式を使って円の方程式を立てています。
 
もちろんこの式でも答えは出ますが,やや計算が面倒になります。
 
式はシンプルな方が計算は楽になりますので,\([2]\)ではなく\([1]\)のように式を立てましょう。
 

中心間の距離を利用して最大値を求めよう

最後の(5)は,円\(C_2\),\(C_3\)はともに定円なので,それぞれの円上を動く2点P,Qの距離を考えるとき,2つの円の中心を通る直線を基準に考えましょう。
  1. \(a=28\)なので,円\(C_2\)の方程式は \[ x^2+y^2-6x-8y-28=0 \] すなわち \[ (x-3)^2+(y-4)^2=53 \]
    であり,中心\( \textrm{O}_2(3,~4),~\)半径\(r_2=\sqrt{53}\)である。
    また,(4)で求めた円\(C_3\)は中心\(\textrm{O}_3(-6,~-8),~\)半径\(r_3=\sqrt{68}=2\sqrt{17}\)である。
    P,~Q間の距離が最大となるのは,図のように\(\textrm{P},~\textrm{O}_2,~\textrm{O}_3,~\textrm{Q}~\)がこの順に一直線上に並ぶときであるから,求める最大値は
    \begin{align*}   \textrm{O}_2\textrm{O}_3 +r_2 +r_3 =15+\sqrt{53}+2\sqrt{17} \quad \cdots \textrm{(答)} \end{align*}
 
(1)から(5)まで,よく出題される問題です。しっかり得点しておきましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 点と直線の距離公式を使うことができるか
  2. 変化する三角形の面積が最大となるところを見抜くことができるか
  3. 2円の交点を通る円の方程式を立てることができるか
  4. 距離の最大値を,中心間の距離を利用して求めることができるか
といったところです。
苦手なところがあれば,早めに克服しておきましょう。
 

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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