令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(4/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和06年度(2024)久留米大学医学部推薦入試数学[4]

[4]3次方程式の解法について確認する問題です

大問4は,3次方程式についての問題です。小問が3つあり,3つの解法を知っているかどうかが問われます。幅広く様々な問題に精通しておくことが重要です。

3次方程式の解を代入して求める

(1)はシンプルに解を求めよ,という問題です。3次以上の方程式,いわゆる高次方程式を解くためには,とりあえず一つ解を見つけることになります。解の公式などを使うわけではなく,解を予想して代入してみて,解かどうかを確かめる,ということです。
 
「そんなの偶然に頼っているみたいで不安だ。簡単ではない数字だったら,見つからないこともあるかもしれないじゃないか・・・」
 
そう思うのは無理もありません。
 
それに対する答えは,後ほどお伝えします。
 
まずは,「3次方程式の解を求めよ」というタイプの入試問題の大半が,\(\pm 1,~\pm2,~\pm3~\)あたりを代入すれば見つかることが多い,ということを知っておきましょう。
 
解\(x=\alpha~\)が見つかったら,左辺は\((x-\alpha)\)で割り切れることが分かるので,因数分解しましょう。
 
(1) \(2x^3+3x^2-1=0\)より
\begin{align*}
(x+1)(2x^2+x-1)=& 0 \\
(x+1)^2(2x-1)=& 0 \\
∴ x=-1,~\frac12 \quad \cdots \textrm{(答)}   
\end{align*}
 
\(x=-1~\)が解であることは,代入すればわかります。あとは組立除法を用いるなどして因数分解すれば解けます。簡単ですね。
 
せっかくですから,先ほどの疑問についてお答えいたしましょう。
 
「代入する値が1や2や3なら見つかるかもしれない。でももっとめんどくさい数字だったら?例えば\(17\)とか\(\frac{5}{7}\)だったら?そんなの代入して見つけるのは不可能ではないか?」
 
確かにそうですね。
 
でも,解が有理数解であれば,推測することは可能です。
以下のことを知識として持っておきましょう。
 
 
\(n~\)次方程式\(~a_n x^n +a_{n-1}x^{n-1} + \cdots a_1 x +a_0 =0~\)が有理数解をもつとき,その解は\(~\pm \dfrac{a_0\text{の約数}}{a_n \text{の約数}}\)を満たす数の中にある
 
今回の問題でいえば,方程式は\(~2x^3+3x^2-1=0~\)なので,有理数解は\(~\pm \frac{1\text{の約数}}{2 \text{の約数}}\)の中にある,とわかります。
 
そこで,解は\(~\pm 1,~\pm \frac12~\)の中にあると考えて,それを代入してみればいいのです。今回の答えは\(~x=-1,~\frac12~ \)ですから,確かにそうなってますね。
 
これを使えば,有理数解ならば見つけることができます。ぜひ使いこなしましょう。
 
 

共通解を文字でおいて連立する

(2)は,共通解問題です。解法はほぼ決まっていて,共通解を文字でおき,連立方程式として解くことになります。解答を見てみましょう。
  (2)~ 2つの方程式の共通解を\(\alpha\)とおくと \begin{align*} \begin{cases} \alpha^3+3\alpha^2+3k\alpha+1=0 \cdots [1]\\ \alpha^2+2\alpha +k=0 \cdots [2] \end{cases} \end{align*} \([2]\times 3\alpha – [1]\)より \[ 2\alpha^3+3\alpha^2-1=0 \] (1)より  \(~\alpha=-1, \frac{1}{2}.\)
  \(\alpha=-1~\)のとき,\([2]\)より  \(~k=1.\)
\(\alpha=\frac12~\)のとき,\([2]\)より  \(~k=-\frac{5}{4}.\)
よって
\(\qquad\)\(k=1~\)のとき  共通解は\(~x=-1. \quad \cdots \textrm{(答)}    \)
\(\qquad\)\(k=-\frac{5}{4}~\)のとき  共通解は\(~x=\frac12 \quad \cdots \textrm{(答)}   \)
 
\(x=\alpha~\)とおくことで,\(\alpha~\)と\(~k~\)についての式が2つできることになります。ですから,\(\alpha~\)も\(~k~\)も求めることができる,と考えましょう。
 
今回の問題は,2つの式のうち1つが(1)で解いた方程式と同じ形になっていますので,計算がスムーズに進められますね。
 

係数に虚数が含まれている方程式の解法

(3)の問題は,係数に虚数が含まれている方程式の解法についての問題です。
 
(3) 与えられた方程式の負の実数解を\(\beta\)とおくと \[ \beta^3+(3+i)\beta^2+(3k+2i)\beta +1+ki=0 \]   虚数単位\(~i~\)について整理して \[ (\beta^3+3\beta^2+3k\beta+1)+(\beta^2+2\beta+k)i=0 \]   \(\beta^3+3\beta^2+3k\beta+1~\)と\(~\beta^2+2\beta+k~\)はともに実数であるから \begin{align*} \begin{cases} \beta^3+3\beta^2+3k\beta+1=0 \\   \beta^2+2\beta+k=0 \end{cases} \end{align*}  (2)より    \[  (k,~\beta)=(1,~-1),~(-\frac{5}{4},~\frac12)  \]  \(\beta~\)は負の実数なので  \(~k=1 \quad \cdots \textrm{(答)}   \) \\ このとき方程式は  \begin{align*} x^3+(3+i)x^2+(3+2i)x+1+i=0 \\  ∴ (x+1)^2(x+1+i)=0 \end{align*} よって方程式の解は \[   x=-1,~-1-i \quad \cdots \textrm{(答)}    \]
 
負の実数解をもつ,とあるので,その実数解を文字でおきましょう。
 
すると,実数\(~\beta~\)と実数\(~k~\),そして虚数単位\(~i~\)が含まれている式になります。
 
それを実数部分と虚数部分に整理して,右辺が\(~0~\)であることから,実部と虚部がともに\(~0~\)である,と2つの式ができます。
 
あとは連立方程式を解けばOK,ということです。この連立方程式が(2)で解いた連立方程式と同じ形であることから,計算は省略することができます。よくできた問題ですね。
 
以上の小問3つを通して,重要な解法3つを確認できたことになります。いずれも重要な解法ですので,しっかり理解して使いこなせるようになりましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 高次方程式の解き方が身についているか
  2. 共通解問題の解法を使えるか
  3. 係数に虚数が含まれている方程式であることに気づけるか

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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