親には理解できない!? 久留米大学医学部一般入試はなぜ難しくなったのか

一般入試について学ぶ

これから久留米大学医学部に行きたい、というあなたにとっては不運なことに、久留米大学医学部の難易度は随分と上がってしまいました。

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偏差値は55から67.5へ

河合塾が発表している大学ランキングで、久留米大学医学部の偏差値は67.5。
これはざっくり言うと、受験生の集団の中で上位約4%の中に入らなければならないことを意味します。

現在の受験生の親世代が受験生だったのは30年ほど前でしょうか。

その頃の久留米大学医学部の偏差値は55程度。
受験生の集団の中で、上位30%に入れば合格できたのです。現在の難易度とは雲泥の差です。

それだけに、父親の「俺はこうして合格した。お前もお父さんのようにやれ!何でできないんだ!」というアドバイスに似た押しつけは、やや的外れです。

私も受験生をもつ保護者の方々と変わらない世代です。その保護者にお伝えしたいことは、久留米大学医学部の受験においてのイメージはすっかり変わってしまった、ということです。

昔なら久留米大学医学部は、少し頑張ればまあ合格できる、というイメージでした。その頃を知っている人は、なかなかそのイメージから抜け出せません。

今では、早稲田や慶応に受かるくらいのレベルでないと、久留米大学医学部には合格できない、と言えばわかってもらえるでしょうか。

でも最近は、政府主導で医学部の定員を増やしています。少子化になっていることも合わせれば、難易度は下がってもいいような気がします。なぜ難易度は上がっているのでしょうか。

誰もが医学部に入りたがる時代

まず、言わずもがなですが、医学部の人気が異常なくらいに高まったことが挙げられます。

高校生で成績が上位にいる人に、希望の学部を尋ねたとしましょう。30年前ならば、回答には法学部・工学部・農学部などとともに医学部も入っている、という感じでした。しかし今は、とても多くの人が医学部と回答し、工学部などはほとんどいない、と言っても過言ではありません。

将来性・ステイタス・収入など、医者になりさえすれば安泰だ、と思わせる要素はいくらでもあります。

もちろん、現実はそう単純ではないはずです。しかし、人は見えやすいもので判断します。未来への不安から、職業として少しでも安心できそうな医者を目指す、というのはある意味合理的なのです。

私立大学医学部を、一般家庭も受験する時代


また、難易度が上がった要因の一つとして、受験者層の変化を挙げたいと思います。

以前は、私立大学の医学部を受験するのは、医師の子弟と相場が決まっていました。

一般の家庭で医者を目指す人は、国立大学の医学部を目指し、夢破れた場合は他学部に行く、というケースが多かったはずです。私立医学部の学費は昔から高く、受験することなど考えもしない人は多かったのです。

つまり、医学部を受験すると言っても、国立の医学部を受験する層と、私立の医学部を受験する層は、かなり違っていたと言っていいでしょう。

しかし現在は、国立の医学部を目指しながら、久留米大学医学部などの私立医学部を受験する層が増えています。さすがに低所得者層には難しいと思いますが、共働きで世帯年収が800万くらいの家庭が、少し無理してでも私立医学部を受験する、というケースは増えました。

学費は高いが、回収可能な価値ある投資?

学費の格差は依然としてあるものの、高収入が得られることを期待できることを考えれば、高い学費は回収可能な投資とみなすこともできます。

医者の年収は、勤務医で平均1500万円と言われています。私立大学医学部の6年間の学費を4000万円とすれば、3年足らずで回収できる計算となります。医学部ではなく、別の学部に進んだ場合、学費は安く済ませることができても、医者と同レベルの年収が得られるかはわかりません。もし、年収が800万円ほどにとどまった場合、1年で700万円、30年働いたとすれば2億円を超える差がついてしまいます。開業医となればこの差はさらに広がります。だったら無理してでも医者になろう、と考える人が増えたのもうなずけます。

学費は借りることも可能

もちろん、そうはいっても現実にそのお金を用立てる必要はあります。

途中で学費が払えなければ退学せざるを得なくなります。少なくとも6年間はきちんと学費が払えなければ、回収する前に家計が破綻してしまいます。

しかし最近は、お金を融通するいろいろな方法があります。

まず、祖父祖母など、身内からの援助が得られるケースがあります。

孫のためならお金を惜しまない、という人はいます。少子化のため、孫の数も少ないので、まとまったお金を教育費に使うことを厭わないのです。

身内から援助が受けられなくても、銀行から借りられるケースもあります。

景気低迷で堅実な貸し出し先がない銀行が、積極的に教育ローンを売り出しているのです。

進学先が医学部ならば、銀行側からすればほぼ確実に回収できると考え、かなり低い金利で貸しているようです。学校に通っている6年間は利息分だけを払えばいい、というもので、卒業後に医者になりさえすれば、十分返していくことが可能です。

さらに、奨学金の充実も見逃せません。

地方の大学病院や地方自治体が、奨学金制度を設けるケースが増えています。その多くが、在学中の学費を援助し、卒業後に地方に残ってもらうことを条件に、奨学金の返還を免除する、というものです。地方の医師不足を解消するために考えられたものです。どこで働くかにこだわらなければ、魅力的な制度です。

このように複数の要因が重なって、以前だったら受験しない層の子どもも、私立医学部を受験するようになったのです。

一般試験の定員は減っている


さらに、一般試験の難易度が上がってしまう理由として、推薦試験の定員が増えていることがあります。

最近、私立大学医学部は推薦試験の定員を増やしていく傾向にあります。総定員数が変わらなければ、推薦試験の定員を一般試験の定員を減らすことになります。

久留米大学医学部も、推薦試験の定員が増えてきました。数年前は推薦10名、一般105名、というときもありましたが、最近は推薦25名、一般90名、となっています。

一般試験だけ見れば、定員は減っているのです。

結果として競争は熾烈に・・・

このように、様々な要因が働くことにより、定員が増えたとしても、難易度が上がってしまう結果となっています。年によって多少競争が緩和されたとしても、全体として狭き門になったことは否めません。

医学部を目指すということは、それなりの覚悟が必要な時代なのです。

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