受験資格はクリアしている。久留米大学医学部は第一志望だ。よし、推薦入試に出願しよう・・・
何の問題もないように思えますよね。
ところが、高校生にとってはまだ1つクリアしなければならない問題があるのです。
通っている高校が推薦してくれるか
それは「通っている高校に推薦してもらえるかどうか」です。
推薦入試の提出書類には、受験生が書く志願書とは別に、高校が作成する推薦書があります。推薦入試を受験したいと思ったら、高校側に推薦書を作成してもらわなければなりません。
その推薦書を書いてもらえない場合があるのです。
高校が独自に人数制限しているケース
まず、高校が独自に推薦する人数を決めているケースがあります。久留米大学医学部の推薦入試を希望している人が多い場合、高校内で誰を推薦するか、選抜されることがあります。
そのため、早めに担任の先生などに推薦入試を希望することを伝えておく方がいいと思います。絶対ではありませんが、早くから希望を伝えていた人を優先するケースがあるからです。
ただ、このケースは人数制限というルールの中の話なので、納得がいくと思います。しかし、次のケースはあまり納得いかないものです。
成績が良いから(?)、私立の推薦入試は受けさせないケース
私の教え子の中に、学校側に「あなたには私立の推薦入試は受けさせない」と言われて、推薦入試を受験できなかった生徒が複数います。
「そんな生徒は、停学になったりした不良なんじゃないの?」
違います。ごく普通の高校生であり、出席日数なども問題ありません。成績はむしろ良い方であり、推薦しない理由が見当たらないのです。
では高校側は、何を理由に推薦を拒否したのでしょうか。
それは「国立志望クラスだから(または成績が良いクラスだから)」です。
高校の先生というのは独特の狭い価値観をもっていることが多く、「私立を目指すより国立を目指せ」とか「私立を受験することは逃げだ」などと公言する人も少なくありません。
国立クラスや私立クラスと言っても、実際には成績のいい人を国立クラスに集め、やや劣る人たちを私立クラスに集めている高校もあるようです。さらに、先生の中で授業が上手い人を国立クラスに、あまりうまくない先生を私立クラスの担当にしたりしています。(これらは、入学する前には分かりませんが、入学後に分かることです。)
そして、成績の良い(つまり一般入試でも合格が見込める)生徒は「センター試験を受けて国立を目指せ!」といい、とても国立大学など望めない生徒には、「(他学部だけど)受けたらほぼ合格する推薦入試を受けてみないか?」とすすめるのです。
久留米大学医学の推薦入試は、他学部と違ってそう簡単な入試ではないので、成績の悪い人に勧めることはないでしょう。しかし、成績のいい人に「久留米医学部の推薦入試を受けるなんて逃げだ!ちゃんとセンター試験を受けて国立医学部を目指せ!」という教師はたしかにいます。
「いや、第1志望が久留米大学医学部なんです」と言っても、そんな教師には伝わりません。
「学費が高いだろう」とか「国立の方がステイタスが高い」とか、自分の価値観を押しつけるだけです。
嘘のような話ですが、私が実際に教えた生徒の話です。成績が良く、生活態度なども申し分なく、第1志望が久留米大学医学部である生徒なのに、推薦書を書くことを拒否する学校あるいは教師が、実際に存在するのです。
(念のため、すべての高校ではありません。一部の高校です)
そんな学校にあなたが通っているとしたら、不幸というしかありません。
早めに、自分の高校が協力的かどうか、探りましょう
まずは、あなたの学校がこのような非協力的な学校でないかどうか、確認しておきましょう。
具体的には、信頼できる先生に「久留米大学医学部の推薦入試を受験したいと思っている」ことを伝えましょう。できれば3年生に上がる前が良いと思います。
必要があれば、進路指導の先生を紹介されたりすると思います。そこでスムーズに話が進めば、特に問題なく推薦書を書いてもらえるでしょう。
問題は、先生の反応があまり良くなかった場合です。
私の経験によると、高校の先生には、生徒の希望を優先して考える人と、学校の慣習を優先する人、自分の価値観のみで話す人、など様々な人がいます。
反応が良くなかった場合は、学校の方針ではなく、ただの個人的意見を述べただけかも知れません。他の先生に相談してみましょう。
どの先生に相談してもうまくいかない場合は、学校の方針で受けさせないのかも知れません。その場合は校長先生に直談判しましょう。それでもダメなら・・・さすがに諦めなければならないかも知れません。
「国立を受けろ」は、生徒を利用しているだけではないのか
私の個人的な考えでは、生徒の受験校は生徒の希望を優先させ、問題なければ自由に受験させるべきだと思います。
「(他学部でも良いから)国立を受けろ」というのは、その高校の大学合格者数を少しでも増やすため、すなわち「高校の都合」を生徒の希望より優先した結果ではないでしょうか。そう思われても仕方がない言動をする教師がいるのは悲しいことです。
そのような価値観をもつような高校・教師は少しでも少なくなることを願っています。
(もし、似たような経験をされた方がいれば、ぜひお知らせ下さい。)