久留米大学の推薦入試には、3種類あるのは知っていますか?
「学校推薦型選抜(一般)」と「地域枠推薦型選抜」と「福岡県特別枠推薦型選抜」です。例年11月に同時に行われます。
3つの試験は共通点が多く、一部に違いがあります。そこでまず「地域枠推薦型選抜」について解説をし、その後相違点を中心に「地域枠推薦型選抜」「福岡県特別枠推薦型選抜」について説明します。
(2020年度入試の情報をもとに記事を書いています。)
学校推薦型選抜(一般)について
「学校推薦型選抜(一般)」とは、一般入試(例年2月に行われる)ではなく推薦入試です(わかりにくいネーミングですね)。
受験資格
受験資格は、大学が発表している文章だと堅苦しくてわかりにくいです。まあ要するに「高校現役生または卒業したばかりの1浪生」であり、かつ「出身高校の評定値が(3.8以上)」であり、「合格したら必ず入学する人」であればOK。
試験日などのスケジュール
受験願書の提出は例年11月の上旬まで、試験日は毎年11月の第3土曜日、合格発表はその約2週間後となっているようです。
ここでアドバイスですが、願書は早めに準備しておくことをおすすめいたします。
というのも、用意する書類の中に、自分では用意できない書類があるからです。自分の通う高校に作成してもらわなければならない書類です。
推薦入試を受験することに好意的な学校ばかりではありません。忙しさを理由に、書類の作成に時間がかかってしまうことも考えられます。
現に、教え子の中に、高校からの書類だけがなかなかそろわずに、出願期間に間に合うかとハラハラした生徒がいました(無事に提出はできましたが)。
願書の提出期間まで、まだあるから大丈夫・・・というような油断は禁物です。なるべく早く願書は作成してしまいましょう。
なお、これはおまけですが、早く提出すると、試験日の面接時刻が早くなるようです。
試験当日は午後から面接が行われ、終わった人から終了となります。
受験番号が早い人から面接に呼ばれているようなので、願書を早く提出すると試験日当日は早く帰れる可能性が高いと思われます。早く帰りたい人は、願書を早めに提出しましょう。
ただし、合格の可能性が高まるわけではありません(笑)。
試験内容
試験日当日は、午前中に英語・数学・小論文(各60分)の順に試験が行われ、お昼休みを挟んで午後から面接試験が行われます。
合格を争う層になると、小論文ではほぼ差が付かない様子。英語と数学の合計点が合否に大きく影響します。英語と数学は純粋に合計するだけで,足切りなどはありません。ですから純粋に合計点勝負になります。
面接については,面接官の自由裁量の部分が大きいようです。「優しい面接官だったので和やかだった」という受験生と「意地悪な面接官だったので嫌な感じだった」という受験生がいます。できれば久留米大学には,面接の方針を統一して欲しいと思っています。
受験料
受験料は60,000円。他の学部に比べると高いと思いますが、医学部の受験料では普通です。インターネット出願となっています。
また、驚くべきことに、学校推薦型選抜(一般)と地域枠推薦型選抜,福岡県特別枠推薦型選抜は複数に出願することが可能です。2つまたは3つの試験に出願した場合,受験料は1.5倍の90,000円となります。試験を複数回受けられるわけではありません。出願書類も1通のみです。
複数の試験に出願した場合、受けた試験の結果を、それぞれの試験で合格判定をすることになります。複数に出願した方が合格の可能性が高まることは事実ですが、そもそも競争率が高いので、ほんの少し確率が高まる、といったところでしょうか。
受験会場
受験会場は久留米大学旭町キャンパス。医学部の敷地ですね。久留米大学は2つのキャンパスを持っており、2月に行われている一般入学試験は遠く離れた御井キャンパスで行われています。そちらと間違えないようにしましょう。
募集人員
募集人員は、約10名。
多少の増減はあります。点数が同じ場合は同じ扱いにするため。たまたま合格ラインぎりぎりに同じ点数の人が並んだ場合は、全員合格か全員不合格となるからです。
また、最低の合格基準を大学が独自に決めているそうで(非公表)、それを上回った人が少なかった場合は、合格者が少なくなるそうです。ただし、受験者が多くなった最近ではまずないケースだと思います。
地域枠推薦型選抜について
受験資格
地域枠推薦型選抜の受験資格は、2浪までとなります。推薦入試だけで3回の受験チャンスがある,ということですね。
さらに受験資格として、「大学卒業後,久留米大学病院において臨床研修(2年)を行い,臨床研修終了後,久留米大学病院および久留米大学医療センター(指定医療機関含む)において4年間地域医療の発展に貢献すること」が加わります。
わかりやすく言うと、卒業後に自由はなく、久留米大学の指示に従えよ、ということです。
これを受け入れられるかどうかが、地域枠推薦型選抜にするかどうかのポイントです。
募集人員
募集人員は、学校推薦型選抜(一般)より多い約20名。
学校推薦型選抜(一般)に比べてやや入りやすいと言われています。
試験内容・スケジュール・受験料・試験会場
学校推薦型選抜(一般)と同じです。
福岡県特別枠推薦型選抜について
受験資格
福岡県特別枠推薦型選抜の受験資格は、地域枠推薦型選抜と同じく2浪までとなります。
さらに受験資格として、「福岡県内の地域医療に貢献する明確な意思を持つ人」「福岡県が実施する奨学金制度に応募するもの」の2点が加わります。
わかりやすく言うと「卒業後は福岡県内で働いてね」ということと「働いてくれれば奨学金は免除するからね」という感じでしょうか。6年間の間,月額10万円(総額720万円)の奨学金を受け取ることができる代わりに,(2年間の臨床研修期間を含め)9年間県内の病院および診療所で勤務することで,奨学金の返還は免除されます。
逆に言うと,受け取った奨学金720万円を卒業時に返還すれば,従わなくてもいいようです。このあたりは,それぞれの判断でしょう。
募集人員
募集人員は、約5名。
成績が基準に達しなかった場合は,合格者が0名ということもあり得ます。
試験内容・スケジュール・受験料・試験会場
学校推薦型選抜(一般)と同じです。
結局どれを受ければ良いの?
2つまたは3つに出願するのもあり
受験料のところで書きましたが、学校推薦型選抜(一般)と地域枠推薦型選抜,福岡県特別枠推薦型選抜は同時に出願することが可能です。
迷ったら2つまたは3つともに出願すれば良いと思います。受験料は30,000円余計に払うことになりますが。
提出書類は1通でいいし、試験も1回なので、労力は変わりません。
「30,000円払って合格可能性を高められるなら安い」と考えることも出来ます。
それにしても久留米大学、うまい商売をしてますね。追加の経費は何もかからないのですから。
どれかを選ぶとしたら
卒業後6年間の進路について久留米大学に従う、つまり自由を失ってもいい、と考えるのであれば、地域枠推薦型選抜を受けましょう。
卒業後は久留米から離れたい、卒業後の進路を制限されるのはいやだ、という人は学校推薦型選抜(一般)を受けましょう。
奨学金が欲しい,福岡県内で働くことに問題はない,という方は福岡県特別枠推薦型選抜でいいでしょう。
最後に本音のアドバイス
どちらの試験を受ければ良いのか?について、とても悩む人がいます。そんな人は、たくさん情報を調べ、長い時間をかけてどちらが自分にとって有利かを知ろうとします。
そんな生徒や保護者には、私はこう言います。
「そんなヒマがあったら勉強(仕事)しなさい。」
結局どちらの試験を受けた方がいいかなど、事前にわかるわけがありません。
不合格だった後に「あっちの試験を受けていれば合格していたのに・・・」と後悔したくないのでしょう。
でも情報を集めることに時間と労力を費やすよりも、ある程度調べたら思い切って早く決めてしまい、あとは試験で1点でも多く取れるよう勉強した方がいいと思います。
自分がコントロールできないことよりも、自分でコントロールできることに力を集中しましょう。
保護者の方も、お子様のためと思う親心は理解しますが、生活を犠牲にしてまで情報を集め、情報に振り回されることはオススメしません。
おおまかなことがわかったら方針を決め、あとは子どもを信じましょう。受験の情報通になることが目的ではないのですから。