平成28年度(2016)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(1/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

[mathjax]

この記事には,久留米大学医学部の過去問の詳しい解説が載っています。過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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平成28年度(2016)久留米大学医学部推薦入試数学[1]

大問1は数Ⅱのいわゆる「領域と最大最小」問題です。問われているのは

  • 不等式が表す領域はどこか
  • k は座標平面において何を表しているか
  • k が最大・最小となるのはどのようなときか

といったところです。それぞれのポイントについて,解答を引用しながら解説していきます。

不等式が表す領域

x2+y28x6y+240,xy20 より (x4)2+(y3)21,yx2 したがって,座標平面において実数 x, y が存在する領域は図1.

不等式が表す領域を問う問題では、ほとんどの場合、円か直線に絡んだ式が出題されます。 この問題もそうで、それぞれの不等式を適切に変形することで、円の内部を表す不等式であること、直線の上側を表す不等式であることがわかります。 2つの不等式が並べてある場合、「かつ」でつなぐことを理解しておきましょう。

k は座標平面において何を表しているか

次に, k は何を表しているか,を考えましょう。 分母をはらうことで,直線の式になっていることがわかるでしょうか。

また, k=y1x2 より y1=k(x2) これは,座標平面において点 (2, 1) を通り, 傾き k の直線を表す.

分母を払ってしまえば,傾き$k$の直線の式であることがわかります。でも,すぐに分母を払うことに気づきましたか? 領域と最大小問題といえば,受験生がよく知っている代表例は次の2つです。入試問題に占める割合も圧倒的です。

  • k=x+y すなわち y=x+k といった形で, k は直線の y 切片を表す
  • x2+y2=k といった形で, k は原点からの距離の2乗を表す

しかし,今回は上のどちらでもなく,k が直線の傾きを表すタイプの問題でした。教科書中心に勉強してきた人は,戸惑ったかもしれません。 ただ,入試では十分出題される可能性がある形なので,しっかり覚えておきましょう。

k が最小となるのはどのようなときか

k の値を変化させると,直線の傾きが変化します。直線は, k の値にかかわらず点 (2, 1) を通るので,ここを中心に直線を動かすことで,最大・最小となるときを探しましょう。最大または最小となるのは,領域を表す図形の頂点を通るときか,あるいは曲線部分と接するときのどちらかです。

したがって,図2より k が最小となるのは, 直線 y1=k(x2) が点 (4, 2) を通るときである. よって k の最小値は 2142=12(答)

最小となるのは直線が点 (4, 2) を通るときです。 ちなみに点 (4, 2) の座標は,不等式の不等号を等号に置き換えた円の式と直線の式を連立して解けば求められますが,この問題においては図を丁寧に書くだけで判明します。 無駄な計算で時間を浪費しないようにしましょう。 最小値の計算は, x  y がわかったので代入するだけです。

k が最大となるのはどのようなときか

次に,k が最大となるときを考えましょう。 傾きがなるべく大きくなるように直線を動かすと分かりますが,最大となるのは,円の上部で接するときです。 それがわかったら式を立てましょう。

また, k が最大となるのは, 直線 y1=k(x2) すなわち kxy+12k=0 が円 (x4)2+(y3)2=1 と図2のように接するときである. このとき, この直線と点 (4, 3) との距離が 1 となるので |4k3+12k|k2+12=1|2(k1)|=k2+14(k1)2=k2+13k28k+3=0 したがって k の最大値は4+73(答)

「円と直線が接する」といえば,まず点(円の中心)と直線の距離を使うことを思いついて欲しいところです。この距離が円の半径と等しければ,円と直線は接します。解答は,そう考えて式を立てています。 「円と直線が接する」ときに,もう一つ思い出して欲しい解法があります。それは「円の式と直線の式を連立した2次方程式が重解をもつ」ことを利用する解法です。 式を連立すれば共有点の x 座標が求められますが,接しているときは共有点が1つしか存在しないため,連立した方程式は重解をもつことになります。ということは,判別式で解けるということです。 この解法は,やや計算が繁雑になりがちだという欠点はありますが,他の曲線でも使えるという利点があります。 例えば「放物線と直線が接する」「楕円と直線が接する」などの問題であっても,連立した方程式が重解をもつ,という解法は使えます。 逆に,点と直線の距離を使う解法は,計算がややラクですが,他の曲線の場合は使えない解法なのです。 立てた式を計算すれば,形式上k の値は2つ求められますがなぜでしょうか。 それは,直線と円が接するとき,上側だけでなく下側で接することもあるからです。 もちろん,下側で接しても,図より領域として存在しない場所なので不適です。 上側で接するときの傾きが,下側で接するときの傾きより大きいことは一目瞭然なので,答えが 4+73 であることはわかると思います。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 不等式が表す領域を求めることができる
  2. k が座標平面において直線の傾きを表していることがわかる
  3. k が最大・最小となるのは直線がどこを通るときかがわかる

振り返ると,さほど難しい手法は必要なく,基本的・標準的な問題だと言えるでしょう。ここは完答して欲しいところです。 あまり慣れていなかった人は,類題などで強化しておきましょう。

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