令和02年度(2020)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(1/5)

過去問で学ぶ推薦入試数学

[mathjax]

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和02年度(2020)久留米大学医学部推薦入試数学[1]

この問題における計算ミスは致命的

\(5+\sqrt3\)の整数部分と小数部分を求め,あとは計算するだけ。こんなサービス問題での計算ミスは致命的です。

ただ,人は意外とそういうところでミスをするものです。簡単だからと油断してしまうのでしょう。

問題の難易度にかかわらず,慌てず正確に答えを求めましょう。

\(1<\sqrt3<2\)より\(6<5+\sqrt3<71.\)よって \begin{align*} a=6 \quad \quad \cdots \text{(答)} \end{align*} であり,\(b=\left( 5+\sqrt3 \right)-6=\sqrt3-1\)より \begin{align*} \dfrac{1}{b}&=\dfrac{\sqrt{1}}{\sqrt3-1}\\ &=\dfrac{\sqrt3+1}{2} \quad \quad \cdots \text{(答)} \end{align*} である。また,\(\dfrac{b}{2}+\dfrac{1}{b}=\dfrac{\sqrt3-1}{2}+\dfrac{\sqrt3+1}{2}=\sqrt3 \quad \cdots \text{(答)} \)であるから \begin{align*} \dfrac{b^3}{8}+\dfrac{1}{b^3}&=\left( \dfrac{b}{2} \right)^3+ \left( \dfrac{1}{b}\right)^3 \\ &=\left( \dfrac{b}{2}+\dfrac{1}{b}\right)^3-3\cdot \dfrac{b}{2}\cdot \dfrac{1}{b}\cdot \left( \dfrac{b}{2}+\dfrac{1}{b}\right) \\ &=\left( \sqrt3 \right)^3-3\cdot \dfrac12 \cdot \sqrt3 \\ &=\dfrac{3\sqrt3}{2} \quad \quad \cdots \text{(答)} \end{align*}

値を覚えていない無理数にも対応しよう

今回の問題については,実数の無理数部分が\(\sqrt3\)でした。\(\sqrt3\)が\(1.732 \cdots \)であることは知っているでしょうから,整数部分も小数部分もすぐに求めることが出来ました。

では,値を覚えていない無理数だったらどのようにして整数部分・小数部分を求めればいいでしょうか。

これは少し注意する点があります。

以下に,例題とうまくいかない解答を示しますので,どこがおかしいか考えてみて下さい。

(例題)\(~3\sqrt{23}~\)の整数部分を求めよ。

(よくない解答)\(\sqrt{16}<\sqrt{23}<\sqrt{25}\)すなわち\(4<\sqrt{23}<5~\)であるから,

\begin{align*} 3\times 4<\sqrt{23}<3\times 5 \\ 12<\sqrt{23}<15 \end{align*}

したがって\(~3\sqrt{23}~\)の整数部分は・・・\(12~?~13~?~14~?\)

何がいけなかったか,わかりますか?

途中の計算には問題はありません。ではどこに問題があったのか?

それは,3倍したところです。せっかく\(\sqrt{23}\)を4と5の間と狭い範囲に絞り込んでいたのに,3倍することで範囲も3倍に広がってしまったのです。

では正しい解答を見てみましょう。

\(3\sqrt{23}=\sqrt{207}\)であるから, \begin{align*} \sqrt{196}<\sqrt{207}<\sqrt{225} \\ 14<\sqrt{207}<15 \end{align*} したがって\(3\sqrt{23}\)の整数部分は\(14.\)

\(3\sqrt{23}\)の\(3\)をルートの中に入れることで,3倍する必要がなくなりました。これで整数部分が求められます。

このように,整数部分を調べたいときは,かけ算をしないで大小関係を調べるようにしましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 無理数の整数部分と小数部分を求めることができるか
  2. 式の変形・代入計算をミスなくできるか
  3. 値を覚えていない無理数でも対応できるか

といったところです。できなかったところがある人は,復習しておきましょう。

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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