令和04年度(2022)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(3/5)

推薦入試

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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令和04年度(2022)久留米大学医学部推薦入試数学[3]

計算を省けるところは省こう

まず(1)の解答を見てみましょう。2カ所,計算を省いているところがありますが,わかりますか?
  1. \( y=\frac {\sqrt2}{4}x^2\)と\(x^2+(y-a)^2=8\)より\(x\)を消去して、 \begin{align*} 2\sqrt2 y+(y-a)^2=& 8 \\ y^2-2(a-\sqrt2)y +a^2-8 =& 0 \end{align*} 放物線と円が2点で接する条件は,この\(y\)についての2次方程式が正の重解をもつことである。判別式を\(D\)として \begin{align*} D=& 0 \\ (a-\sqrt2)^2-a^2+8=& 0 \\ \therefore a=\frac{5\sqrt2}{2} \quad \cdots \text{(答)} \end{align*}

    このとき,重解は\(y=a-\sqrt2=\frac{5\sqrt2}{2}-\sqrt2=\frac{3\sqrt2}{2} \)であり,正の数である。

    \(x\)座標は\(x^2=2\sqrt2 y=2\sqrt2 \times \frac{3\sqrt2}{2}=6\)より\(x=\pm \sqrt6.\)

    よって2つの接点のうち\(x\)座標が正である座標は\( \left( \sqrt{6},~ \frac{3\sqrt{2}}{2} \right) \quad \cdots \text{(答)} \)

    放物線と円で囲まれた部分の面積\(S\)は,下の図より \begin{align*} S=& \frac16 \cdot \frac{\sqrt{2}}{4} \left\{ \sqrt6 -(-\sqrt6)\right\}^3 + \sqrt2 \times \sqrt6 -\frac12 \cdot (2\sqrt2)^2 \cdot \frac{2\pi}{3} \\ =& 6\sqrt3 -\frac{8\pi}{3} \quad \cdots \text{(答)} \end{align*}

放物線と円が接していることから,連立した方程式が重解を持つ条件を求めます。\(a=\frac{5\sqrt2}{2}\)です。このあと,重解を求めなければなりませんが,\(a\)をもとの連立した方程式に代入して解くのはやや面倒です。ここは解と係数の関係を使いましょう。

知っているとは思いますが,公式を書いておきます。

2次方程式\(ax^2+bx+c=0\)の2解を\(\alpha ,~ \beta \)とすると,次の関係が成り立つ。 \begin{align*} \begin{cases} \alpha + \beta & = -\frac{b}{a} \\ \alpha \beta & = \frac{c}{a} \end{cases} \end{align*} *重解となるのは,\( \alpha =\beta \)のときですから,重解をもつときその重解は \begin{align*} \alpha + \alpha =& -\frac{b}{a} \\ \therefore \alpha =& -\frac{b}{2a} \end{align*} となります。

ですから,解答の重解は\(y=a-\sqrt2=\frac{5\sqrt2}{2}-\sqrt2=\frac{3\sqrt2}{2} \)として求めています。重解を求めるときは,ぜひこれを使いましょう。

もう一つの計算を省いた箇所は,面積の計算のところです。

普通に上の式から下の式を引いて積分する,としても解けますが,円が絡んでいる場合は解答のように扇形を使うのがコツです。積分計算はどうしてもミスが増えやすいので,このように計算を避ける方法はぜひ取り入れましょう。

点の座標も,計算せずに図で解こう

(2)

∠PTQ=90°より,直線TP, TQの傾きは\(-1\)と\(1\)である。線分TP\(,~\)TQの長さは円の半径\(2\sqrt2\)に等しいので,P\(,~\)Tの\(~x~\)座標は\(-2\)と\(2\)であり,\(y~\)座標は\(\frac{5\sqrt2}{2}+2\)とわかる。

\(y=mx^2+n\)は,\(x=2\)の点で円と接しており,この点における接線の傾きは\(-1\)である。\(y’=2mx\)であるから

\begin{align*} 2m \times 2 =& -1 \\ m=& -\frac14 \quad \cdots \text{(答)} \end{align*} 放物線の式を\(y=-\frac14x^2+n\)として,通る点の座標\(x=\pm 2,~y=\frac{5\sqrt2}{2}+2 \)を代入して \begin{align*} \frac{5\sqrt2}{2}+2=& -\frac14 \cdot 4 +n \\ n=& \frac{5\sqrt2+6}{2} \quad \cdots \text{(答)} \end{align*}

PとQの座標を求めるのに,直線TP,直線TQの方程式を求め,円の方程式と連立する,という手法をとった人もいるかもしれませんが,それはやや面倒です。

解答のように,傾きが\(\pm 1\)ということから直角二等辺三角形を図のように書けば,座標はすぐに求められます。

中心Tから右(または左)に2,上に2進んだところ,と考えればいいのです。楽ですね。

これは,様々な場面で使える手法です。ぜひ覚えておきましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 重解を解と係数の関係を使って求められるか
  2. 面積計算に図形を取り入れているか
  3. 座標を求めるのに図形を取り入れているか

といったところです。

この手法をマスターすれば,計算時間が早くなる,計算ミスが少なくなる,といいことずくめです。

ぜひマスターしておきましょう。

 

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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