[mathjax]
この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!
解答はすでにこちらの記事で示しております。
平成31年度(2019)久留米大学医学部推薦入試数学[2]
解法の選択と特殊解の見つけ方がポイント!不定方程式についてまとめておこう
- \( 2019=3\times 673~\)より,\(2019\)の正の約数は \begin{align*} 1,~3,~673,~2019~ \qquad \cdots \text{(答)} \end{align*}
- \(2019x+31y=1~\cdots [1]\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)がある。よって \begin{align*} 2019 \cdot 8 + 31 \cdot (-521)=1 \quad \cdots [2] \end{align*}
(1)については簡単なので問題ないでしょう。
さてあなたは(2)の不定方程式\(2019x+31y=1\)を見て,まず何を考えてましたか。
いきなり「特殊解を見つけよう」と考えたでしょうか。だとしたら,まだ不定方程式について,うまく整理されていないのかもしれません。
というのも,不定方程式の解法には「特殊解を見つけてから一般解を見つける」という解法だけでなく,「係数をくくってから一般解を見つける」という解法もあり,こちらの方が簡単に解ける問題もあるからです。
残念ながら今回の問題には使えず,結局「特殊解を見つけてから一般解を見つける」という解法を使うのですが,まず「係数をくくってから一般解を見つける」解法を使えないかどうかを確認する人としない人では,実戦力に大きな差があると言っていいでしょう。
「特殊解を見つけてから一般解を見つける」解法は,すべての不定方程式で使えるというメリットがありますが,その反面,特殊解を見つける過程に時間がかかることがある,というデメリットがあるのです。
久留米大学医学部の試験は,推薦試験も一般試験も時間との闘いです。素早く解ける解法があるのであれば,そちらを選べる力が必要です。まずは「係数をくくってから一般解を見つける」解法を検討するよう心がけましょう。
検討する,とは,各項の係数に共通因数がないかどうかを確認する,ということです。つまり,不定方程式\(ax+by=c\)の\(a,~b,~c\)のいずれかに共通因数があれば,それをくくることで解くことができます。(今回の問題は残念ながら共通因数が見つからず,「特殊解を見つけてから一般解を見つける」解法を選ぶことになります。)
特殊解を見つける過程は記述する必要はない
さてもう一度解答を再掲してみましょう。- \(2019x+31y=1~\cdots [1]\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)がある。よって \begin{align*} 2019 \cdot 8 + 31 \cdot (-521)=1 \quad \cdots [2] \end{align*}
不定方程式\(2019x+31y=1~\)を満たす整数解の一つとして,\(x=8,~y=-521~\)すなわち特殊解を見つけていますが,これはどうやって見つけたのでしょうか。
もちろん,ユークリッドの互除法を使ったのでしょう。教科書にも載っている,ごく普通の解法です。
では,それを記述しなくていいのでしょうか。
結論から言うと,私は記述する必要はないと思っています。理由は「久留米大学の解答用紙のスペースが狭いこと」「特殊解は,代入して求められることもあること」の2つです。
「久留米大学の解答用紙のスペースが狭いこと」については,問題集やweb上でも公開していますのでご確認ください。
模擬試験や国立大学の2次試験に比べれば,かなり解答欄が狭くなっています。ですから,コンパクトに記述する訓練をしておかなければなりません。
特殊解を求める過程は,解答の中で優先順位が低いところなので,省略しても良いところだと思います。なぜなら「特殊解は,代入して求められることもある」からです。
例えば\(7x+6y=1\)の特殊解は何でしょうか。もちろん\(x=1,~y=-1\)です。こんな問題にユークリッドの互除法を持ち出す人はいませんね。
だとしたら\(2019x+31y=1~\)についても,「\(x=8\)を代入したら,たまたまうまくいきました」という受験生がいたとしても何ら問題はないはずです。
ということで,特殊解を見つける過程は省くことをお勧めします。
一応,以下に特殊解を見つける過程を記しておきます。
一般解は機械的に求められる
特殊解が見つかれば,あとは互いに素であることを用いて一般解を求める,という機械的な手順だけです。がんばって完答しましょう。
この問題のポイント
振り返ってみましょう。この問題のポイントは、
- 不定方程式の解法を,適切に選べるか
- 特殊解を見つけることができるか
- 特殊解から一般解を導くことができるか
といったところです。どれも大切なので,ミスなくできるよう訓練しておきましょう。
※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。