前回の記事で、3年分の合格者平均点のデータから、合格ラインと各科目の影響力について読み解きました。
記事「どれくらい点数を取ればいいの?久留米医学部合格者の平均点」
今回はさらに、5年分の平均点を見ながら、今後の入試傾向を探ります。
受験者平均点と合格者平均点(5年分)
まずは5年分の受験者平均点と合格者平均点です。前回の記事同様、科目ごとにグラフにしてみました。上にある線が合格者平均点、下にある線が受験者平均点です。縦軸は全科目同じにしています。
英語の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 数学の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 物理の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 化学の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 生物の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 小論文の合格者平均点と受験者平均点(5年分) 合格者平均点が上がっている
合格者平均点の変化を見てみましょう。
わかりやすいのは数学です。
H25,H26の合格者平均点が60.7,55.6だったのに、H27以降は79.9,75.8,87.8と明らかに落差があります。およそ20点位は上がったと見ていいでしょう。これは,意図的に”問題の”難易度を下げたものと思われます。
実際,最近の久留米医学部の数学は以前に比べて解きやすくなった、というのが私たち講師の間で話題になっていました。それが数字にもはっきり出ています。
理科の科目も、同様の傾向を見て取ることが出来ます。数学ほどではないものの、物理・化学・生物それぞれ5〜10点くらい上がっています。
それに対して、英語・小論文については、特に傾向が見られません。
このような傾向から、何が読み取れるでしょうか。
問題が解きやすくなれば、高校現役生に有利
医学部の受験では、受験生の中で浪人生の比率が高いのが特徴です。いわゆる多浪生の比率も高い傾向にあります。
出題される問題の難易度が高く、クセがあるような問題だと、その対策が必要となるため、浪人生に有利になります。結果として合格者の平均年齢は上がっていくことになります。実際、久留米大学は浪人生の比率が高いことが特徴でした。
ここ数年で、数学と理科の問題の難易度を下げ、標準的な問題を出題するようになったのは、大学側として若くて力のある生徒を求めていることのあらわれでしょう。
実際、これまで現役生が合格者に占める比率が10%以下だったのに、2017年度は15%を超えたそうです。今後もこの傾向を続けてくれれば、現役生には有利にはたらくでしょう。