過去問を利用して、久留米大学医学部推薦入試の数学について学びましょう。 令和05年度入試では全部で4問出題されました。 そのうちの4番について、問題と解答を以下にまとめています。 さらに詳しい解説授業は、別の記事にしています。
令和05年度(2023)推薦入試[4]
問題
〔問題1〕すべての実数\(x\)で微分可能である関数\(f(x)\)が次の条件を満たしている。
- \(f'(0)=0\)
- すべての実数\(x,~p\)において等式\(f(x+p)=f(x)+f(p)+2xp-1\)が成り立つ。
- (ア) \(f(0)\)の値を求めよ。
- (イ) \(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(h)-1}{h}\)の値を求めよ。
- (ウ) 導関数\(f'(x)\)を求めよ。
[大輔:]先生,この問題すごく難しそうですね。
[先生:]そうですね。ではひとつずつヒントを与えるので,考えてみましょう。
[先生:]まず,条件(ii)は,等式\(f(x+p)=f(x)+f(p)+2xp-1\)がどんな実数を代入しても成り立つということですね。
[大輔:]そうか。じゃあ,条件(ii)は,等式\(f(x+p)=f(x)+f(p)+2xp-1\)に\(x=p=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)を代入すると\(f(0)\)の値は\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)とわかりますね。
[先生:]そのとおり。では次に,(イ)ですね。大輔さんは「微分係数の定義式」は知っていますか?
[大輔:]ごめんなさい,覚えていません・・・。
[先生:]「微分係数の定義式」は覚えるのではなく,理解するものです。今から教えるので,しっかりと理解しましょう。まず関数\(f(x)\)の\(x\)が\(a\)から\(a+h\)まで変わるときの平均変化率は知っていますか?
[大輔:]それは大丈夫です。2点\((a,~f(a))\)と\((a+h,~f(a+h))\)を結んでできる直線の傾きと同じものですよね?
[先生:]そうですね。「直線の傾き」というのは大事です。では,その平均変化率において,\(h\)を限りなく0に近づけると,どのようになるかわかりますか?
[大輔:]\(a+h\)がどんどん\(a\)に近づくので,2点\((a,~f(a))\)と\((a+h,~f(a+h))\)を結んでできる直線は,点\((a,~f(a))\)における接線に近づくし,この点における接線の傾きが微分係数になりますね!
[先生:]そのとおり!
[大輔:]はい。そうすると(イ)は(ア)の結果を利用すると,「微分係数の定義式」になっていることがわかるので,\(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(h)-1}{h}=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)となりますね。
[先生:]「微分係数の定義式」が理解できれば,「導関数の定義式」も理解できるので,(ウ)もできるかな?
[大輔:]「導関数の定義式」は\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)ですか?
[先生:]そうです。もうこれで(ウ)もできますね。
[大輔:]できます!先生,ありがとうございました。
- \(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\),~\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\),~\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)に当てはまる値を答えよ。
- \(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)に当てはまる最も適当なものを,次の\(0.\)〜\(3.\)のうちから1つ選べ。
- \(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(h)}{h}\)
- \(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}\)
- \(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(h)}{x}\)
- \(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{x}\)
(3)\(f'(x)=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)であり,\(f(x)=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)である。\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}},~\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)に当てはまる最も適当なものを,次の\(0.\)〜\(7.\)のうちから1つずつ選べ。
- \(x-1\)
- \(x\)
- \(2x-1\)
- \(2x\)
- \(\dfrac{x^2}{2}-x+1\)
- \(\frac{x^2}{2}+2\)
- \(x^2-x+2\)
- \(x^2+1\)
〔問題2〕 関数\(f(x)\)がすべての実数\(x\)で微分可能であるとき, \begin{align*}\lim_{h \to 0}\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h} \end{align*} を\(f'(1)\)を用いて表せ。
[大輔:]この問題も「微分係数の定義式」を利用するんですか?
[先生:]そのように見えるようになったってことは,「微分係数の定義式」を理解したってことですね。
[太郎:]できました!\(\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h}=\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)ですか?
[先生:]正解です!これでもうしっかりと理解できましたね。
[太郎:]はい!ありがとうございます。
(4)\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)に当てはまる式を\(f'(1)\)を用いて表せ。
〔問題3〕 関数\(f(x)\)がすべての実数\(x\)で微分可能であり, \(f(2)=8,~f'(2)=12\)のとき, \[ \lim_{x \to 2}\frac{4f(x)-x^2f(2)}{x-2}=\boxed{\Large\phantom{ppppp}} \] である。
(5)\(\boxed{\Large\phantom{ppppp}}\)に当てはまる値を答えよ。
久留米推薦(令和05年度入試)
解答
(1) 条件iiの式について,\(x=p=0 \quad \cdots \text{(答)}~\)を代入して
\begin{align*}
f(0)=f(0)+f(0)-1 \\
\therefore f(0)=1 \quad \cdots \text{(答)}
\end{align*}
また,\(f(h)=f(0+h),~1=f(0)~\)であるから,微分係数の定義より
\begin{align*}
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(h)-1}{h}= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(0+h)-f(0)}{h} \\
= & f'(0) \\
= & 0 \quad \cdots \text{(答)}
\end{align*}
(2) 導関数の定義は
\[
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h}=f'(x) \quad [1] \quad \cdots \text{(答)}
\]
(3) 条件iiの式の\(p~\)を\(h~(h \not = 0)\)に置き換えることで
\begin{align*}
f'(x)= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(x+h)-f(x)}{h} \\*
= & \displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{ \left\{f(x)+f(h)+2xh-1 \right\}-f(x)}{h} \\*
= & \displaystyle\lim_{h \to 0} \left\{ \frac{ f(h)-1}{h}+2x \right\} \\*
= & f'(0) +2x \\*
= & 2x \quad [3] \quad \cdots \text{(答)}
\end{align*}
\(f'(x)=2x\)より,\(f(x)=x^2+C~\)(\(C\)は積分定数).
\(f(0)=1~\)なので\(C=1.\quad \therefore f(x)=x^2+1 \quad [7] \quad \cdots \text{(答)}\)
(4)
\begin{align*}
\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h}= & \frac{f(1+(-3h))-f(1)-f(1+2h)+f(1)}{h} \\*
= & \frac{f(1+(-3h)-f(1)}{h}-\frac{f(1+2h)-f(1)}{h} \\*
= & \frac{f(1+(-3h)-f(1)}{-3h} \cdot (-3)-\frac{f(1+2h)+f(1)}{2h} \cdot 2
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
\displaystyle\lim_{h \to 0}\frac{f(1-3h)-f(1+2h)}{h}
= & -3f'(1)-2f'(1) \\*
= & -5f'(1) \quad \cdots \text{(答)}
\end{align*}
(5)
\begin{align*}
\frac{4f(x)-x^2f(2)}{x-2}= & \frac{4(f(x)-f(2))-(x^2-4)f(2)}{x-2} \\*
= & 4 \cdot \frac{f(x)-f(2)}{x-2}-(x+2)f(2)
\end{align*}
したがって
\begin{align*}
\displaystyle\lim{x \to 2}\frac{4f(x)-x^2f(2)}{x-2}= & 4f'(2)-4f(2) \\*
= & 4 \cdot 12-4\cdot 8 \\*
= & 16 \quad \cdots \text{(答)}
\end{align*}
さらに詳しい解説授業もあります
この問題でさらに力をつけよう!詳しい解説授業はこちら
※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。
問題と解答のディスクリプション