どれを受ければ良いの?久留米大学医学部の推薦入試は4種類ある

推薦入試について学ぶ

久留米大学の推薦入試には、4種類あるのは知っていますか?

  • 学校推薦型選抜(一般:A日程)
  • 地域枠推薦型選抜
  • 福岡県特別枠推薦型選抜
  • 自己推薦型選抜

です。例年11月に同時に行われます。

4つの試験は共通点が多く、一部に違いがあります。そこでまず「学校推薦型選抜(一般:A日程)」について解説をし、その後相違点を中心に「地域枠推薦型選抜」「福岡県特別枠推薦型選抜」「自己推薦型選抜」について説明します。

(2024年度入試の情報をもとに記事を書いています。)

 

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学校推薦型選抜(一般:A日程)について

「学校推薦型選抜(一般:A日程)」とは、一般入試(例年2月に行われる)ではなく推薦入試です。わかりにくいネーミングですね。

受験資格

受験資格は、大学が発表している文章だと堅苦しくてわかりにくいです。まあ要するに「高校現役生または卒業したばかりの1浪生」であり、かつ「出身高校の校長の推薦が必要(評定値は問わない)」であり、「合格したら必ず入学する人」であればOK。

試験日などのスケジュール

受験願書の提出は例年11月の上旬まで、試験日は毎年11月の第3土曜日、合格発表は12月初頭となっているようです。

ここでアドバイスですが、願書は早めに準備しておくことをおすすめいたします。

というのも、用意する書類の中に、自分では用意できない書類があるからです。自分の通う高校に作成してもらわなければならない書類です。

推薦入試を受験することに好意的な学校ばかりではありません。忙しさを理由に、書類の作成に時間がかかってしまうことも考えられます。

現に、教え子の中に、高校からの書類だけがなかなかそろわずに、出願期間に間に合うかとハラハラした生徒がいました(無事に提出はできましたが)。

願書の提出期間まで、まだあるから大丈夫・・・というような油断は禁物です。なるべく早く願書は作成してしまいましょう。

なお、これはおまけですが、早く提出すると、試験日の面接時刻が早くなるようです。

試験当日は午後から面接が行われ、終わった人から終了となります。

受験番号が早い人から面接に呼ばれているようなので、願書を早く提出すると試験日当日は早く帰れる可能性が高いと思われます。早く帰りたい人は、願書を早めに提出しましょう。

ただし、合格の可能性が高まるわけではありません(笑)。

試験内容

試験日当日は、午前中に英語(100点満点)・数学(100点満点)・小論文(50点満点)(各60分)の順に試験が行われ、お昼休みを挟んで午後から面接試験(50点満点)が行われます。

選考にあたっては,次のような但し書きがあります。

「ただし,基礎学力テスト(英語・数学)の合計点が基準を満たした場合のみ,小論文・面接を含めた総合評価を行う段階選考とする」

つまり,英語と数学で大学が設定している基準点を上回っていなければ,その時点で足切りされるということです。そうなると,せっかく書いた小論文は読んでさえもらえません。面接がうまくいっても,何にもなりません。何としてでも,英語と数学でしっかりと点数を取りましょう。

英語と数学が基準点を上回れば,小論文・面接の点数を加えた総合評価となります。

合格を争う層になると、小論文ではほぼ差が付かない様子。ですから,英語と数学の合計点の方が,合否に大きく影響します。

面接については,面接官の自由裁量の部分が大きいようです。「優しい面接官だったので和やかだった」という受験生と「意地悪な面接官だったので嫌な感じだった」という受験生がいます。できれば久留米大学には,面接の方針を統一して欲しいと思っています。

受験料

受験料は60,000円。他の学部に比べると高いと思いますが、医学部の受験料としては普通です。インターネット出願となっています。

また、驚くべきことに、学校推薦型選抜(一般:A日程)と久留米大学特別枠推薦型選抜と福岡県特別枠推薦型選抜は,複数に出願することが可能で、2つまたは3つの試験に出願した場合,受験料は1.5倍の90,000円となります。出願書類は1通のみです。

複数の試験に出願した場合でも、試験は1回のみで,受けた試験の結果を、それぞれの選抜で合格判定をすることになります。

複数に出願した方が合格の可能性が高まることは事実ですが、そもそも競争率が高いので、ほんの少し確率が高まる、といったところでしょうか。

受験会場

受験会場は久留米大学旭町キャンパス。医学部の敷地ですね。久留米大学は2つのキャンパスを持っており、2月に行われている一般入学試験は遠く離れた御井キャンパスで行われています。そちらと間違えないようにしましょう。

募集人員

募集人員は、約8名。

多少の増減はあります。点数が同じ場合は同じ扱いにするため。たまたま合格ラインぎりぎりに同じ点数の人が並んだ場合は、全員合格か全員不合格となるからです。

また、最低の合格基準を大学が独自に決めているそうで(非公表)、それを上回った人が少なかった場合は、合格者が少なくなるそうです。

地域枠推薦型選抜について

受験資格

地域枠推薦型選抜の受験資格は、2浪までとなります。推薦入試だけで3回の受験チャンスがある,ということですね。

さらに受験資格として、「大学卒業後,久留米大学病院において臨床研修(2年)を行い,臨床研修終了後,久留米大学病院および久留米大学医療センター(指定医療機関含む)において4年間地域医療の発展に貢献すること」が加わります。

わかりやすく言うと、卒業後に自由はなく、久留米大学の指示に従えよ、ということです。

これを受け入れられるかどうかが、地域枠推薦型選抜にするかどうかのポイントです。

募集人員

募集人員は、学校推薦型選抜(一般:A日程)より多い約20名。

学校推薦型選抜(一般:A日程)に比べてやや入りやすいと言われています。

試験内容・スケジュール・受験料・試験会場

学校推薦型選抜(一般:A日程)と同じです。

福岡県特別枠推薦型選抜について

受験資格

福岡県特別枠推薦型選抜の受験資格は、地域枠推薦型選抜と同じく2浪までとなります。

さらに受験資格として、「福岡県内の地域医療に貢献する明確な意思を持つ人」「福岡県が実施する奨学金制度に応募するもの」の2点が加わります。

気をつけなければいけないのは,福岡県の奨学金制度の受給資格に

  • 将来,福岡県内の病院及び診療所の外科,小児科,産婦人科,救急科,麻酔科および総合診療のいずれかで勤務する意思を有する者
  • 同種の貸与金を他から受ける予定がないこと

があることです。

わかりやすく言うと「卒業後は福岡県内で働いてね」「指定の科で働いてね」「他の奨学金は受けないでね」という感じでしょうか。場所はともかく,どの科に進むかを指定されるのはちょっと厳しいような気もします。

奨学金は,6年間の間,月額10万円(総額720万円)を受け取ることができます。そして,福岡県の指示通り,(2年間の臨床研修期間を含め)9年間県内の病院および診療所で(指定の科に)勤務することで,奨学金の返還は免除されます。

逆に言うと,受け取った奨学金720万円を卒業時に返還すれば,従わなくてもいいようです。このあたりは,それぞれの判断でしょう。

募集人員

募集人員は、約5名。

成績が基準に達しなかった場合は,合格者が0名ということもあり得ます。

試験内容・スケジュール・受験料・試験会場

学校推薦型選抜(一般:A日程)と同じです。

自己推薦型選抜について

受験資格

大学側が発表している受験資格は以下の通りです。

「4年制以上の国内の大学(理系学部)を卒業後3年以内の者(学士)および卒業見込みの者。かつ、入学時満25歳以下の者で専願者。6年制大学(歯・薬・獣医学部)の場合は満27歳以下の者で専願者。」

要するに,大学を卒業した人のための試験ですね。高校生や高校卒業後に浪人している人には関係ない試験となります。

一度は医学部以外の学部に進学したものの,卒業後に「やはり医学部に行きたい!」と思った人のための入試制度です。

注意しなければならないのは,出願書類を提出するよりも前に,出願資格審査を受けなければならないことです。

審査は書類審査で行われます。9月末から10月初頭にかけて,出身大学の成績証明書と出身大学の卒業(見込)証明書を提出しなければなりません。

その審査の後,11月初頭にあらためて出願することになります。手続きが一つ増えますので注意しましょう。

なお,最近は理系なのか文系なのか判断しにくい学部もありますが,久留米大学は以下のように発表しています。

「理系学部の判断は提出書類等をもとに本学において行う。」

要するに,理系学部かどうかはこちらで決めますよ。とりあえず書類を提出してね,ということですね。

募集人員

募集人員は、約2名。
成績が基準に達しなかった場合は,合格者が0名ということもあり得ます。

試験内容・スケジュール・受験料・試験会場

学校推薦型選抜(一般:A日程)とほぼ同じですが,受験資格上,他の推薦選抜との併願はできません。ですから,受験料は60000円となります。

結局どれを受ければ良いの?

複数に出願するのもあり

受験料のところで書きましたが、学校推薦型選抜(一般:A日程)と地域枠推薦型選抜,福岡県特別枠推薦型選抜は同時に出願することが可能です。

迷ったら2つまたは3つともに出願すれば良いと思います。受験料は30,000円余計に払うことになりますが、提出書類は1通でいいし、試験も1回なので、労力は変わりません。

「30,000円払って合格可能性を高められるなら安い」と考えることも出来ます。

それにしても久留米大学、うまい商売をしてますね。追加の経費は何もかからないのですから。

どれかを選ぶとしたら

卒業後6年間の進路について久留米大学に従う、つまり自由を失ってもいい、と考えるのであれば、久留米大学特別枠推薦型選抜を受けましょう。

卒業後は久留米から離れたい、卒業後の進路を制限されるのはいやだ、という人は学校推薦型選抜(一般:A日程)を受けましょう。

奨学金が欲しい,福岡県内で働くことに問題はない,という方は福岡県特別枠推薦型選抜でいいでしょう。

大学を卒業した人なら,もちろん自己推薦型選抜です。募集人員は少ないですが,受験者も少ないことが予想されるので,該当する人にとっては狙い目かもしれません。

最後に本音のアドバイス

どちらの試験を受ければ良いのか?について、とても悩む人がいます。そんな人は、たくさん情報を調べ、長い時間をかけてどちらが自分にとって有利かを知ろうとします。

そんな生徒や保護者には、私はこう言います。

「そんなヒマがあったら勉強(仕事)しなさい。」

結局どちらの試験を受けた方がいいかなど、事前にわかるわけがありません。

不合格だった後に「あっちの試験を受けていれば合格していたのに・・・」と後悔したくないのでしょう。

でも情報を集めることに時間と労力を費やすよりも、ある程度調べたら思い切って早く決めてしまい、あとは試験で1点でも多く取れるよう勉強した方がいいと思います。

自分がコントロールできないことよりも、自分でコントロールできることに力を集中しましょう。

保護者の方も、お子様のためと思う親心は理解しますが、生活を犠牲にしてまで情報を集め、情報に振り回されることはオススメしません。

おおまかなことがわかったら方針を決め、あとは子どもを信じましょう。受験の情報通になることが目的ではないのですから。

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