令和04年度(2022)久留米大学医学部推薦入試数学過去問の解説授業(2/5)

推薦入試

この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。

過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!

解答はすでにこちらの記事で示しております。

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[2]様々な手法を知っておこう!場合の数・組分けの問題

場合の数でよく出題される,組分けの問題です。
どの解き方も重要なものなので,すべて解けるようになっておきましょう。
キーワードは「区別できるか,区別できないのか」です。

区別できる球を,区別できる箱に入れる場合

  1. Aに1個,Bに2個,Cに3個を入れるとすると,その入れ方は \begin{align*} _6 \textrm{C} _1 \times _5 \textrm{C} _2 \times _3 \textrm{C} _3=60 \text{(通り)} \end{align*} どの箱に何個の球を入れるかは\( 3!=6 \)通りあるから,求める入れ方は \begin{align*} 60 \times 6 =360 \text{(通り)}\cdots \text{(答)} \end{align*}
  2. Aに1個,Bに1個,Cに4個を入れるとすると,その入れ方は \begin{align*} _6 \textrm{C} _1 \times _5 \textrm{C} _1 \times _4 \textrm{C} _4=30 \text{(通り)} \end{align*} どの箱に何個の球を入れるかは\( \frac{3!}{2}=3 \)通りあるから,求める入れ方は \begin{align*} 30 \times 3 =90 \text{(通り)}\cdots \text{(答)} \end{align*}

(1)では,箱に入る球の個数が1個,2個,3個と指定されています。

ただ,箱は区別できるので,どの箱に何個入れるかは\( 3!=6 \)通りあることになります。

ですからそのうちの1つ,「Aに1個,Bに2個,Cに3個」について計算し,最後に6をかけます。

Aに1個入れるのは,6個のうち1個入れるので\(_6 \textrm{C} _1 \)通り,その一つ一つに対して,残った5個の球のうち2個をBに入れるので\( _5 \textrm{C} _2 \)通り,その一つ一つに対して,残った3個をすべてCに入れると考えます。

これで\( _6 \textrm{C} _1 \times _5 \textrm{C} _2 \times _3 \textrm{C} _3=60 \)通りです。

あとは最後に6をかけて360通りとなります。

(2)もほとんど一緒なのでわかるでしょう。

区別できない球を,区別できない箱に入れる場合

箱も球も区別できないということは,箱に入っている球の個数でしか判別できません。

ですから,個数の違いのみで分け方を数えることになります。

(3) 箱も球も区別できないので,個数のみを考慮して3つの組に分けると \begin{align*} (1,~1,~4),~(1,~2,~3),~(2,~2,~2) \end{align*} の3(通り)。\(\cdots \text{(答)}\)

区別できる球を,区別できない箱に入れる場合

次は,区別できる球を区別できない箱に入れる場合です。

まず仮に,箱を区別できると考えて球を入れます。そのあと,箱の区別をなくすために,\(3!=6\)で割っています。

解答を見てみましょう。

(4)箱に区別があるとして球を2個ずつ入れる入れ方は \begin{align*} _6 \textrm{C} _2 \times _4 \textrm{C} _2 \times _2 \textrm{C} _2=90 \text{(通り)} \end{align*} 実際には箱に区別がないので,重複して数えている\( 3!=6~\)通りで割らなければならない。したがって求める場合の数は \begin{align*} \frac{90}{6}=15 \text{(通り)}\cdots \text{(答)} \end{align*}

問題集などに載っているのは上の解答でしょう。

箱のことを考えずに,どの球とどの球がペアになるかを考える,次のような解法もありますので,紹介しておきます。

(4)【別解】

6個の球を,2個ずつのペアに分けると考える。

まず番号1の球とペアになる球を,番号2から番号5の球のうち1つ選ぶので5通り。

その一つ一つについて,残った4個のうちの1個について,その球とペアになるものを選ぶと考えれば,残っているのは3個なので3通り。

したがって,2個ずつのペアに分ける方法は\(5 \times 3=15 \text{(通り)}\cdots \text{(答)} \)

区別できない球を,区別できる箱に入れる場合

まず解答を見てみましょう。
(5)求める場合の数は,6個の〇を並べ、そのすき間5カ所のうちに仕切りを2カ所入れる入れ方と1対1に対応している。よって \begin{align*} _5 \textrm{C} _2 =10 \text{(通り)}\cdots \text{(答)} \end{align*}

あっさり解けているけれど,分かりますか?

有名な手法ですので知っている人は多いと思いますが,よく分からないままに使っている人もいるようです。ここで大事なのは「1対1に対応していることが分かるか」です。詳しく説明してみましょう。

まず〇を6個用意します。こんな感じです。 \[ 〇〇〇〇〇〇\] これを,3つに分けるため仕切りを2つ用意します。そしてすき間にその仕切りを入れると考えます。例えばこんな感じです。 \[ 〇〇|〇|〇〇〇 \]

これは,〇が左から2個,1個,3個と並んでいるので,「Aに2個,Bに1個,Cに3個」と考えます。

並べ方が決定すれば,球の入れ方がただ1通りに決まりますし,逆に球の入れ方を決定すれば,〇と|の並べ方が決まります。これが1対1対応です。ただし, \[〇〇||〇〇〇〇\] と仕切りが並んでしまうと,Bが0個になってしまうし, \[|〇〇|〇〇〇〇\] と仕切りが左端にくると,Aが0個になってしまいます。

ですから,仕切りは隣り合わないよう,そして端にならないように並べる必要があります。

ということで,〇が6個並んでいるすき間の5カ所のうち2カ所に,仕切りを入れると考えるのです。

地道に場合分けして数えていけば答えは出ますけれど,この解法を知っていれば短い時間で解くことができます。ぜひマスターしておきましょう。

区別できない球を,区別できる箱に入れる場合

(1),(2)と同じパターンですが,今度は個数の指定がありません。どうすればいいでしょうか。

(6)\(\quad\) (1),(2)で,区別のできる6個の球を区別できるA,B,Cの箱に「1個,2個,3個」入れる入れ方と「1個,1個,4個」入れる入れ方はそれぞれ360通り,90通りとわかっている。

あとは,「2個,2個,2個」と入れる入れ方を数えればよい。

それは,A,B,Cの順に2個ずつ入れると考えて \begin{align*} _6 \textrm{C} _2 \times _4 \textrm{C} _2 \times _2 \textrm{C} _2=90 \text{(通り)} \end{align*} したがって \begin{align*} 360+90+90=540 \textrm{(通り)} \cdots \text{(答)} \end{align*}

もし,(1),(2)のような設問がなく,いきなり(6)のような問題が出たら,次のように計算するといいでしょう。

(6)【別解】

6個の球を,A,~B,~C, いずれかの箱に入れると考えると,球の入れ方は\(3^6=729\)通り。

このうち,空き箱が2箱であるのは3通りである。

空き箱が1箱であるのは,どの箱が空き箱かで3通りで,その一つ一つについて,球を2箱に入れる入れ方は\( 2^6-2=62\)通り,すなわち\(3 \times 62=186\)通りである。

したがって求める場合の数は \( 729-(3+186)=540 \)(通り)\(\cdots \text{(答)}\)である。

この解法は,1個の球ごとに入れ方を考えています。1個の球について,A,B,Cのいずれかに入れる,と考えて3通り。これを球6個すべてについて考えると\(3^6=729\)通り,と考えるのです。 

ただこの場合,空箱ができてしまうので,その分を除かなければなりません。

空箱2個の場合は簡単です。Aにすべての球が入る,Bにすべての球が入る,Cにすべての球が入る,の3通りです。

空箱1個の場合はちょっと面倒です。まず,空箱がAの場合,Bの場合,Cの場合があることを確認しましょう。そのうち空箱がAの場合を考えると,球はBかCのいずれかに入ることになります。1個につきBかCの2通りと考えれば,\(2^6\)通りとなりそうですが,これだとBが空の場合とCが空の場合を含んでしまいます。ですからこの2通りを引いて,\(2^6-2=62\)通りとなります。空き箱がBの場合,Cの場合もおなじなので,空箱が1個の場合は\(62 \times 3=186\)通りです。

あとは,全体から空き箱になる場合を除いて答えが出る,というわけです。この解法もマスターしておきましょう。

この問題のポイント

振り返ってみましょう。

この問題が解けるかどうかのポイントは、

  1. 組分け問題の解法を知っているか
  2. 区別できる・できないを考えているか
  3. 1対1対応の解法を理解しているか
といったところです。いつ出ても対応できるよう,しっかり復習しておきましょう。

 

※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。

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