この記事には,久留米大学医学部推薦入試過去問の詳しい解説が載っています。
過去問を通して久留米大学医学部の数学について学べるように,授業のような解説にしています。これまで勉強してきたことを整理し、あなたの数学力をレベルアップしましょう!
解答はすでにこちらの記事で示しております。
令和04年度(2022)久留米大学医学部推薦入試数学[5]
会話形式に惑わされるな!具体的な数字を入れてみよう
\(3m+7n\)の形で表すことのできない自然数を調べる問題です。
整数問題は,難しいと思ったなら具体的な数字を当てはめていけばわかることが多いです。今回も,\(0,~1,~2,~\cdots \)といった自然数を入れてみましょう。意外に解けることがわかるでしょう。
ちなみに,太郎さんと先生との会話には最初少しヒントらしきものがありますが,あまり役に立たないし,後半に至っては会話形式にする必要が無いものとなっています。
共通テストっぽくしたかっただけでしょう。適当に読み飛ばして問題に集中しましょう。
\begin{align*}
3=& 3 \cdot 1 +7\cdot 0 \\
6=& 3 \cdot 2 +7\cdot 0 \\
7=& 3 \cdot 0 +7\cdot 1 \\
9=& 3 \cdot 3 +7\cdot 0
\end{align*}
したがって,\(3m+7n\)の形で表すことのできない1桁の自然数は,\(1,~2,~4,~5,~8~\)の5個\(\quad \cdots \text{(答)}\)である。
また,\(0\)以上の整数\(m,~n\)を用いて\(3m+7n\)の形で表せる自然数を,\(n=0,~1,~2\)の場合で考える。
\begin{align*}
n=0\text{のとき}\quad &3m+7n=3,~6,~9,~12,~15,~18,~\cdots \\
n=1\text{のとき}\quad &3m+7n=\quad 7,~10,~13,~16,~19,~22,~\cdots \\
n=2\text{のとき}\quad &3m+7n=\qquad \qquad 14,~17,~20,~23,~26,~29,~\cdots
\end{align*}
12以上の自然数はすべて\(3m+7n\)の形で表すことができる。
よって,20以下の自然数で,\(3m+7n\)の形で表すことのできない最大の自然数は\(11. \quad \cdots \text{(答)}\)
(2)\(n=1\)のとき,\(3m+7n=7,~10,~13,~16,~19,~22,~\cdots\)より,3で割って1余る7以上の自然数\(\quad \cdots \text{(答)}\)である。
\(n=2\)のとき,\(3m+7n= 14,~17,~20,~23,~26,~29,~\cdots \)より,3で割って2余る14以上の自然数\(\quad \cdots \text{(答)}\)である。
(3) \(0\)以上の整数\(m,~n\)を用いて\(5m+11n\)の形で表せる自然数を,\(n=0,~1,~2,~3,~4~\)の場合で考える。
\begin{align*}
n=0\text{のとき}\quad &5m+11n=5,~10,~15,~20,~25,~30,~35,~40,~45,~\cdots \\
n=1\text{のとき}\quad &5m+11n=~\quad 11,~16,~21,~26,~31,~36,~41,~46,~\cdots \\
n=2\text{のとき}\quad &5m+11n=\hspace{47pt} 22,~27,~32,~37,~42,~47,~\cdots \\
n=3\text{のとき}\quad &5m+11n=\hspace{82pt} 33,~38,~43,~48,~\cdots \\
n=4\text{のとき}\quad &5m+11n=\hspace{116pt}44,~49,~\cdots
\end{align*}
40以上の自然数はすべて\(5m+11n\)の形で表すことができる。
\(5m+11n\)の形で表せない自然数は,
\begin{align*} 1,~2,~3,~4,~6,~7,~8,~9,~12,~13,~14,~17,~18,~19,~23,~24,~28,~29,~34,~39
\end{align*}
の20個\(\quad \cdots \text{(答)}\)ある。その中で最大の自然数は39。\(\quad \cdots \text{(答)}\)
3つに増えても同じ。ただし,\(4l\)を最後に残すのがコツ
最後は\(4l+15m+37n\)と3つの文字になり,難しく感じるでしょう。
しかし,基本は同じです。具体的な数字で調べていけばいいのです。
ただし,\(4,~15,~37\)のうち\(4\)が最小なので,\(4l\)を最後に残した方が賢明です。
なぜなら,4で割った余りで分類することになるので,4種類でいいことになります。
37で割った余りで分類してもいいのですが・・・やりたくないですよね(笑)。
4で割った余りが0,~1,~2,~3となる最小の数を,\(15m+37n\)で作りましょう。
(m=n=0\)として,\(l\)を\(l=0,~1,~2,~\cdots\)とすることで,4で割り切れるすべての自然数を表すことができる。
4で割ると1余る自然数のうち最も小さいものは,\(l=0,~m=0,~n=1\)としたときの37である。\(m=0,~n=1\)と固定して\(l\)を\(l=0,~1,~2,~\cdots\)とすることで,4で割って1余る37以上のすべての自然数を表すことができる。
4で割ると2余る自然数のうち最も小さいものは,\(l=0,~m=2,~n=0\)としたときの30である。\(m=2,~n=0\)と固定して\(l\)を\(l=0,~1,~2,~\cdots\)とすることで,4で割って2余る30以上のすべての自然数を表すことができる。
4で割ると3余る自然数のうち最も小さいものは,\(l=0,~m=1,~n=0\)としたときの15である。\(m=1,~n=0\)と固定して\(l\)を\(l=0,~1,~2,~\cdots\)とすることで,4で割って3余る15以上のすべての自然数を表すことができる。
以上のことを,\(4l+15m+37n=P\)とおいて書き並べると
\begin{align*}
m=0,~n=0\text{のとき}\quad &P=4,~8,~12,~16,~20,~24,~28,~32,~36,~40,~\cdots \\
m=0,~n=1\text{のとき}\quad &P=\hspace{126pt} 37,~41,~\cdots \\
m=2,~n=0\text{のとき}\quad &P=\hspace{92pt} 30,~34,~38,~42,~\cdots \\
m=1,~n=0\text{のとき}\quad &P=\hspace{25pt} 15,~19,~23,~27,~31,~35,~39,~43,~\cdots
\end{align*}
したがって,\(0\)以上の整数\(l,~m,~n\)を用いて\(4l+15m+37n\)の形で表すことのできない自然数は
\begin{align*}
1,~2,~3,~5,~6,~7,~9,~10,~11,~13,~14,~17,~18,~21,~22,~25,~26,~29,~33
\end{align*}の19個\(\quad \cdots \text{(答)}\)であり,その中で最大の自然数は33\(\quad \cdots \text{(答)}\)である。
この問題のポイント
振り返ってみましょう。
この問題が解けるかどうかのポイントは、
- 具体的な数字を入れてみて考えることができるか
- 場合分けが少なくなる方を選ぶことができるか
といったところです。整数問題は難しく見えることもありますが,具体的な数字を入れるだけで解けることはたくさんあります。恐れずにチャレンジしましょう!
※誤植やミスを見つけた方は,ぜひお知らせください。